あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)が映画への投融資に本格的に乗り出した。
子会社を通じた「投資」と、銀行本体からの「融資」を組み合わせることでリスクを分散したうえ、
「投資者」として映画製作に意見を出し、収益重視の考え方も反映させる。
同行はゲームや書籍などにも積極的に投資して「エンターテインメント業界」の開拓を図っている。
同行は、11日から東映系で全国公開される映画「突入せよ!『あさま山荘』事件」に、
100%出資のベンチャーキャピタル「あおぞらインベストメント」を通じて2000万円を投資し、
興行収入に応じて配当を得るようにした。
さらに、映画のテレビ放映権やビデオ化権を担保に映画製作会社に1億円を融資した。
映画は当たりはずれが多く、これまでの銀行は製作会社への融資にあたり、
配給会社との間で交わされた配給権の売買契約書を担保にとるケースがほとんどだった。
今回、あおぞら銀は、テレビの放映権とビデオ化権という「担保」に見合った融資をし、
不足分については投資でカバーすることにした。映画がヒットしなくても融資分は担保で回収し、
逆に大ヒットすれば、投資分でより多くの配当を得られる、というわけだ。
同じ手法で映画以外に、書籍やテレビアニメへも投資しており、昨年末に発刊された
「ホーキング、未来を語る」(アーティストハウス社)には5000万円を投資し、
15万部以上が売れてすでに投資分は回収した。
中谷行道執行役員は「この業界は日本の銀行の開拓が進んでいないすき間の業界。
担保偏重にならず、事業価値を評価するプロジェクトファイナンスの手法を積極的に導入し、
業界への投融資のノウハウを確立させたい」と話している。
[朝日新聞](14:58)
http://www.asahi.com/culture/update/0508/002.html