大阪府箕面市の山中で今年2月、トラック運転手岡野満義さん(57)が他殺体で見つかった事件で、岡野さん
所有のトラックにひき逃げされて死亡した無職男性(57)の長男(26)(自殺)が生前、知人に「父親に頼
まれ、自分が父親をはねた」という趣旨の告白をしていたことが13日、関係者の話でわかった。父親が加入し
ていた総額約1億円の生命保険金が目的で、ひき逃げを偽装するため岡野さんのトラックを奪う計画も父親から
持ちかけられた、とも話したという。府警捜査一課の箕面署捜査本部もこの知人から事情を聞いており、告白内
容の信ぴょう性が高いとみて慎重に詰めの捜査をしている。
事件は今年2月8日午前零時ごろ、岡野さんが同府豊中市走井で殺害されトラックを奪われたのが発端。翌9日
未明、同市庄内栄町で無職男性がこのトラックにひき逃げされ死亡した。男性の長男はその後、府警を訪れ、
「父親が岡野さん殺害に関与したかもしれない。大きな荷物を一緒に山中に運んだ」と話した。また長男は第3
の人物の関与も示唆したが、同18日、同市内で飛び降り自殺し、府警が一連の経緯を捜査している。
関係者によると、長男はひき逃げがあった数時間後に知人宅を訪問。震えながら岡野さんのトラックで父親をひ
いたと話し、保険金目当てだったと明かした。別の機会には同じ知人に〈1〉岡野さん殺害事件前、トラック強
奪計画を父親から聞き協力した〈2〉山中に運んだのは遺体とわかっていた――などとも話したという。
これまでの調べでは、父親には約1億円の借金があり、交通事故で死亡した場合、親族に約1億円が支払われる
災害特約付きの生命保険に加入していた。
また、岡野さんの遺棄現場近くにある廃棄物の不法投棄監視カメラに長男が使っていた軽トラックが写っていた
ほか、ひき逃げに使われた岡野さんのトラックから父親の指紋が検出されているが、第3の人物は浮かんでいない。
府警はこうした状況や長男の告白などから、岡野さん殺害は、ひき逃げ用の車を奪うのが目的で、その後、父親が
保険金のために長男に自分をひかせた可能性があると判断。事件当時の父親と長男の行動を詳細に調べ、告白内容
との照合を進めている。 (4月14日03:03)
http://www.yomiuri.co.jp/00/20020414i301.htm