◆バターの品質保持期限書き換え 雪印乳業別海工場 2002/02/23 07:30
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20020223&j=0022&k=200202233263 【別海】雪印乳業(本社・東京)が、品質保持期限の切れた業務用冷凍バターを
全国から別海工場(根室管内別海町)に運んで同期限を一年後に書き換えて再包装
した上で、加工乳などに再利用し、道から「好ましくない行為」と指摘されていた
ことが二十二日分かった。二○○○年六月の集団食中毒事件の影響で在庫がだぶつ
いたためとみられ、昨年三月から今年一月までに約二千三百トン分を書き換え、う
ち約七百六十トンは既に再利用された。
同社は事実関係を認め、「製造から七年間は品質が変わらないことを実証済み。
健康や人体に全く影響はなく、違法性もない」(川成真美乳食品事業部長)と話し
ているが、道の指摘を受けて一月末、書き換えを中止。保管中の同期限切れ冷凍バ
ターと、既に書き換えを済ませたバターを廃棄するか検討している。
同工場などによると、書き換えが行われたのは二十キロ詰め無塩冷凍バター。業務
用で洋菓子メーカーなど向けの外販用のほか、自社内では加工乳などの原料に使う。
氷点下一八度以下の冷凍保存のため、家庭用バターよりも同期限は長く、同社で
は一年半と定めていたが、在庫が積み上がったことなどから昨年三月、社内の基準
を変更し、新たに製造する自社向け冷凍バターの品質保持期限を三年に改めるとと
もに、期限切れバターは検査で品質を確認し、検査日から一年間の期限を新たに設
定することを決定。乳食品事業部生産部長名で指示した。
同工場では古い箱から出してカビなどがないか肉眼で確認した上で新しい箱に詰
め替え、検査日から一年後の日付を新たな期限として印字。札幌工場を含む全国十
五工場に出荷し、加工乳やアイスクリームなどの原料として使っていたという。
道が調査に入った今年一月三十日までに約十一万五千箱(二千三百トン)が書き
換えられ、うち約三万八千箱(七百六十トン)は加工乳などに製品化済み。最も古い
もので製造から二年半が過ぎており、この製品は品質保持期限が製造後三年半ま
で書き換えられたことになる。各倉庫にはこれら以外に五万二千箱(千トン)以上の
期限切れバターがあり、同社はこの大部分についても順次書き換える予定だった
という。
同社は「社内で使う業務用バターの品質保持期限は出荷した場合のもので、社内
で使うものは期限を定めていなかった。万一、期限切れ表示のバターが社外に出回
る事態を考え、(期限を延長した)別の箱に入れ替えた」としている。別海工場で
書き換えたのは、解凍して品質検査をするための解凍用冷蔵庫が整っているためと
している。
道保健福祉部は「期限切れ製品の書き換えは違法ではないが、誤解を受ける行為。
集団食中毒事件で信頼を失った企業でもあり、書き換えを合理的に説明できる十分
なデータを示すべきだと指導した」(食品衛生課)としている。同社内にも「消費者の
感覚からずれていた」との声がある。
日本乳業協会は「冷凍保存期間は保持期限の対象外とするのが業界の常識。期限
延長も問題はない」としている。