東証2部上場の金属機械メーカー「住倉工業」(東京都港区)の
利益供与事件で、商法違反容疑で逮捕されたコンサルタント会社元役員、
篠巻政利容疑者(55)が一昨年6月の住倉工業の株主総会直前、
都内の同和団体幹部を名乗る男性に5万円を渡し、
総会出席を依頼していたことが13日、関係者の話で分かった。
総会にはほかにも十数人の暴力団関係者が出席していたことがわかっており、警視庁捜査4課では、篠巻容疑者が窓口となって住倉工業側の金を
暴力団関係者らに配っていた疑いが強いとみて捜査を進めている。
関係者によると、篠巻容疑者は都内の事務所にこの男性を呼び、
「新幹線代と弁当代にしかならないが」と話して5万円を渡したという。
この男性は、読売新聞の取材に
「総会が荒れるかもしれないので来てくれと頼まれた」と金の授受を認めている。
篠巻容疑者は、1969、71年の世界選手権無差別級で連覇した元柔道選手。
明治大学在学中から「内またの篠巻」として知られ、
富士製鉄(現新日鉄)に就職後は、重量級のエースとして世界を舞台に活躍した。
72年のミュンヘン五輪では日本選手団の旗手=写真はAP=を務め、
金メダルも期待されたが、3回戦で敗れた。
73年の世界選手権では、試合中にアキレスけんを切断するアクシデントに見舞われたが、1年後にカムバックした。
現役引退後は、母校で監督を務めるなど後輩の指導に当たった。
しかし、10年近く前に退職。ここ4―5年は、柔道仲間らと連絡をとることはほとんどなくなったという。
事件当時はコンサルタント会社の役員を務めていた。
明大関係者は「人のいい男だった」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/00/20020214i501.htm