【パリ28日坂井政美】今月一日から十二カ国で単一通貨ユーロの流通が始まったばかりの欧州で、
二ユーロ硬貨(約二百四十円)と大きさや重さがそっくりのタイの十バーツ硬貨(約三十円)を悪用した
自動販売機荒らしが各地で相次いでいる。一方のタイでは、十バーツ硬貨の大量両替を求める旅行者が
増えているため、タイ財務省は欧州連合(EU)に改善を求める書簡を送った。
双方の硬貨は重さが同じ八・五グラム。直径も十バーツ硬貨の二十六ミリに対して、
二ユーロ硬貨が二五・七五ミリとわずか〇・二五ミリの違い。デザインは異なるので肉眼では識別できるが、
自販機の中には識別できない機種もある。
このため、十バーツ硬貨を自販機に入れて買い物をしたり、払い戻し機能を利用して二ユーロ硬貨に
替える手口が横行しているという。スペイン北部のたばこ自販機では五枚の十バーツ硬貨が使われたほか、
ドイツ、オランダなどでも見つかった。
ユーロ流通以降、タイの両替所では一度に五十―百枚単位で高額紙幣から十バーツ硬貨に両替するよう
求める旅行者が急増。ロイター通信は「欧州の旅行者が手っ取り早く金を稼ぐ手品を見つけたようだ」と伝えた。
タイ財務省は書簡で「十バーツ硬貨は一九八八年に通貨として登録。今回の問題は後から二ユーロ硬貨を
流通させたEU側が解決すべき問題だ」と主張。欧州中央銀行は自販機のシステムを新しいものに変更するよう
求めているが「世界中で流通しているすべての硬貨と完全に異なる硬貨をつくるのは不可能だ」と対応に
苦慮している。(西日本新聞)
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