http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20020101k0000m040088000c.html <環境タイムカプセル>絶滅危惧生物の生殖細胞などを冷凍保存
環境省は、絶滅の恐れのある野生生物の生殖細胞などを冷凍保存する「環境タイムカプセル」
事業を02年度から始める。将来、科学技術が発展したときに、研究・分析の対象として利用
しようという試みで、試料をデータベース化し外部の研究者にも公開する。関係者は「将来、
絶滅動物を復活できるかも」と夢を膨らませる。
保存対象は、ツシマヤマネコやシマフクロウなど絶滅危惧(きぐ)生物の生殖細胞や遺伝子
などの生物試料と、土壌や大気中の粉じん、ヒトの毛髪や尿などの環境試料の2種類。
国立環境研究所(茨城県つくば市)に専用の保存棟を設け、当面、生物試料100種類と、
毎年の環境試料を順次保存していく。環境試料は約30年分の保存スペースがある。試料は
いずれも氷点下約196度の液体窒素で冷凍する。細胞や有機化合物も変質せず、約100年間
保存できるという。
以前は知られていなかった環境ホルモン(内分泌かく乱物質)が社会問題化したように、将来、
科学の発展で新たな環境問題が判明した場合、過去の試料を使って、有害物質が生体内や環境中に
どの程度含まれているか調べられる。同研究所の彼谷邦光・環境研究基盤技術ラボラトリー長は
「技術が開発されれば、野生生物などの生体の復元に利用することもできる」と話している。
【高野聡】(毎日新聞)