悪質交通事故厳罰化へ 刑法改正案が可決、成立
悪質な交通犯罪の刑を重くする刑法改正案が、28日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
新たに「危険運転致死傷罪」が設けられ、たとえば酒や薬物を飲んで車を運転して人を死なせた場合は、
1年以上の有期懲役(最高15年)が科される。
現在の業務上過失致死傷罪の法定刑(懲役5年以下)に比べ大幅な厳罰化で、年内に施行される。
6月には道路交通法の悪質運転に関する法定刑も引き上げられており、
運転者に一層の自戒を求めるものとなった。
今回の刑法改正は、人の生命や身体に被害が出た場合が対象となる。
交通事故を一律に「過失犯」として処理してきたのを改め、
酒酔い運転や著しいスピード違反を「故意による行為」ととらえ直し、
暴行や傷害と同種の罪に位置づけた。
一方で、制裁にメリハリをつける狙いから、
けがの程度が軽いときは「情状で刑を免除できる」との規定も盛り込んだ。
6月の道路交通法改正では、結果のいかんにかかわらず、
酒に酔って車を運転するなどの行為そのものの法定刑が引き上げられた。
来年6月までに施行される。
警察庁はさらに、危険運転で死亡事故を起こした運転手の行政処分を厳しくすることも検討。
現行の免許停止処分を免許取り消し処分に変更し、
5年間は再取得できないようにする案が浮上している。
一連の厳罰化のきっかけとなったのは
「今の法律では、加害者への制裁が軽すぎる」と訴えた被害者の遺族らの署名運動だった。
業務上過失致死傷罪は重大な交通事故が相次いだことを背景に、
68年に最高刑が禁固3年から懲役5年に引き上げられたが、その後の見直しはなかった。
http://www.asahi.com/politics/update/1128/004.html