「天然痘テロ」を警戒、WHOが対策指針を発表
【ジュネーブ26日=大内佐紀】世界保健機関(WHO)は26日、天然痘ウイルスを
使用した生物兵器テロに備え、
〈1〉天然痘を探知、流行を抑える方法をアドバイスする特別専門家チームを設立、
必要とする加盟国に派遣する
〈2〉各国の事情に応じ、天然痘のワクチン生産を再開することが適切であると
判断する加盟国があれば、支援する
――などの天然痘対策新指針をまとめ発表した。
WHOでは、米同時テロ事件発生後、世界で天然痘ウイルスを公式に所持している
米露計2か所の研究所に担当官を急派、管理状態を確認するなど、炭疽(たんそ)菌よりも
感染力、致死力の強い天然痘への警戒を強めている。
現在、WHOが50万人分のワクチンをオランダの関連施設に貯蔵しているほか、
世界72か国が計7000万人分のワクチンを所持している。ただ、各国分については
耐用年数が切れていないかどうか、未確認のものがあるという。
加盟国からの要請を受け、WHOでは82年以前にワクチンを生産していた製薬会社
27社に生産再開の可能性を打診、このうち26日現在、6社がすでに生産再開の意向を
示しているという。
一方で、WHOとしては、ワクチンの副作用が強いことから、予防接種の再開は
勧告せず、早期の発見に努めるよう加盟国に促すことにした。
(10月26日23:15)
http://www.yomiuri.co.jp/05/20011026id33.htm