そこはかとないエロスが好きだ
直接的なのじゃなくてその場に漂うぼんやりとした空気的な。
肌にまとわりつくように湿気を孕んだ空気と、淡い欲と戸惑いのジレンマがじりじりと身を焦がす。
私はそういう雰囲気的なエロスが好きだ
いつもの軽いじゃれあいみたいな感じで頭なでたりられたり頬をつねったりられたりしたい。
不意に目が合う。じゃれてるうちに顔が近づいていたことに気付いて妙に照れたり、でも声には出さない。
ひんやりとした手が頭から頬に滑り降りてきて
頬の形をなぞるように親指で二度三度なでられる。言葉はない。
お互い息を潜めるようにして、目を離さないまま数秒。
気付けば骨ばった大きな手が自分の手を覆うように重ねられている。
ついさきほどまでのじゃれあいとは一変した雰囲気に、頭にぼんやりと熱が滲む。
冷蔵庫のモーター音も外の喧騒も遠くのことのように感じられて、
不意にもう一度、ゆっくりと頬を撫でられる。
惹き付けられるようにお互いの影が近づいて、