ここでブレてはいけない−。6年間で21回も優勝した最強横綱の朝青龍は
こんなにひ弱で、繊細な男だったのか。自分がまいた不祥事で、2場所出場
停止を科されてまだ1週間そこそこなのに、その病状の悪化ぶりには驚かさ
れる。処罰3日目には早くも主治医が「精神が不安定な状態。モンゴルに帰
した方がいい」と言いだし、6日目には知人と称する精神科医が登場して「
鬱病(うつびょう)の一歩手前。今の状態なら、2、3日で鬱病になる」と
警戒警報を鳴らし、同じように「本人にとって最良の場所、モンゴルに帰国
させるべき」と付け加えた。そして、6日の夜、相撲協会が選定した精神科
医は、急性ストレス障害と診断。この席に同席した吉田博之・相撲診療所所
長も「モンゴルに帰すのも治療のひとつの方法」と話している。人一倍、心
技体が優れているはずの横綱がこんな短期間にこうなるものだろうか。生命
にかかわるような状態なら、すぐさま何らかの手を打たなければいけない。
朝青龍が希望する謹慎処分の一時停止というのは、このまま「自宅謹慎」が
続けば、力士生命が危うくなるからというもの。26歳の大人が「お母さん
の食事が食べたい」と、母国モンゴルでの療養を求めるという主張は「ちょ
っと待て」といいたい。不自由な生活を余儀なくされる謹慎には、そもそも
そういう危険も含まれている。閉門蟄居(ちっきょ)を命じられた侍の顔が
、つやつやな映画など見たことがない。当然、ストレスは募る。そんな中で
、自分のやったことを反省し、自分をしっかり見つめ直すのがこの処罰の真
の目的だ。もし、それで再起不能の状態になったら、致し方ない。大事なの
は、いったん下した処分はそう軽々と軽減したり、執行停止したり、しない
ことだ。今日8日、朝青龍以外の力士たちは、同行の報道陣も悲鳴をあげる
ような長距離をバス移動で、財政破綻(はたん)した夕張市で『頑張れ巡業
』を行う。朝青龍はこれにも休場届を出して、モンゴルでサッカーを楽しん
でいたため、罰せられたのだ。「私の口から(モンゴルに)帰れとは言いた
くない」と師匠の高砂親方は7日に会見して話しているが、朝青龍の早期帰
国を認めたら、大相撲は崩壊の道をたどることになる。
http://www.zakzak.co.jp/spo/2007_08/s2007080802.html