肉体的に劣っていることは、日本人がとくに背が高く頑丈そうな華北の人間に相対したときはっきりわかる。
しかし精神的にも一般に中国人は日本人よりすぐれている。
このことはまさに現在の中国において十分に観察できる。
日本人と中国人が一緒に働いているところでは両者は共に相手の言語を習得しようと努める。
中国人は日本語を楽に使いこなし、北京の中小企業者などは少なくともすでにある程度の日本語が話せる。
その反面、日本人は苦心惨憺、昼となく夜となく中国語を覚えようと熱心に勉強してもうまくゆかない。
同じ経験があらゆる分野でなされており、中国人と日本人に接する人はだれしもこのことがわかる。
中国人は不気味なほど知的な民族である。
こうした中国人を単に日本人ばかりではなく、わたしたちヨーロッパ人も凌駕できないであろう。
いずれにせよ、わたしたちは今後の事態の動きに関して、中国人の知性を勘定に入れるのが賢明であろう。
日本人を最初見たときはいかにも鈍重に思われる。
しかし中国人はおどろくほどすばやい理解を示す。
日本人に相対した者はだれしも、日本人の知性が不活発であり、日本人が決断力に乏しく何事についてもためらいがちであり、
とくに形式にこだわる官僚主義者であることに、最初に驚き、しまいには絶望する。
しばしば日本人は一般にいかなる決意、決断にも踏み切ることができないように思われる。