1 :
私事ですが名無しです:
鬱とかヒキコモリとか離婚とか別居とか夫婦喧嘩とか殺人とか病気とか家庭崩壊とか
そんなものを完全に超越している
それでいて俺はネトゲを辞めることが許されない
死にたいがそれも許されない
妹は死んだ姉も死んだ
恐らく老いて死ぬまで永遠にネトゲをやる羽目になりそうだ
この世からネトゲが消えてなくなってくれれば俺は解放される
誰か助けてくださいお願いします
俺は彼等に侵食されている
2 :
私事ですが名無しです:2006/04/05(水) 06:41:47 ID:GcmZkoQh
ま 頑張って
つまんネ
氏ね
ウルティマオンラインをやろうとしたら有料と聞いてひどく落胆したことのある自分を思い出した。
そんな中二の夏。
アダルトチルドレンについて調べてみな
同類のスレは結構あるが、
>>1が狂気じみているんで、誘導すると迷惑がかかりそうだから誘導できない
P8
彼がひそかに想いをよせていたむすめが、まだ一度も言葉をかわさぬうちに、東京に働きにいってしまった。
彼がそのむすめの切符をきってやった。
その切符はブリキのように固かった。
ハサミの音が何秒ものあいだ耳の奥でなりつづけた。
そのときむすめが「さようなら。」と、三月のはじめに麦畠のあいだを吹きぬけてくる南風のような
生ぬるい蒸気をふくんだ声でささやいたように思ったのだ。
その瞬間彼は自分の中の詩人を自覚した。
しかし文化ホールではそうしたことがすこしも問題にならず、
近代的自我の確立という彼の理解からはほど遠い哲学的論議がなされただけだった。
彼は一度でこの読書会にこりてしまった。
そしてその帰りに花井といっしょだったのである。
とつぜん彼の記憶がはっきりする。
「あいつらは、馬鹿だよ。」
……と二人きりになると花井がいきなりそう言った。
その一言で彼は花井を、信頼してしまったのだ。
信頼したというよりも、この場合、疑惑を解いたといったほうがいいかもしれない。
P17
「なんですか?」と追いかけるように矢根善介が上半身を現した。
首にまいた手拭、二サイズは大きいカパカパの兵隊服、そり残された顎のうらの無精ヒゲ、
左手には塗りかけの人形の首を、右手には長い鉛筆をにぎっている。
男は思いだしたように立ちどまり、頭をさげ、そしてほほえんだ。
明るいところで見ると、その微笑は、あまり上等ではなかった。
しまりの悪い唇の間に、笑い屎がたまったという感じなのである。
P19
「まあいいや、停電になるまで、上って、番茶でも飲んでらっしゃい……戦後は、お互い同士、冷たくなったからなア。」
「お気にさわったでしょうね。」
と織木がすぐにほほえんで頭をさげた。
「そうでもありませんさ。」
と矢根はつぶやくように言い、のろのろと不器用に番茶をすする、あひるの嘴のような織木の唇を見つめながら、
「なんでも……自分のことは、自分でせよだ……たよる人は、うらむ人っていうからね……おっかないですよ……」
P32
柿井の自転車は変な具合によろめいていた。
広場のすみで釘さしをしていた子供たちの中によろけこみ、バス待合所の塀に衝突しそうになり、
急に動かなくなってハンドルを左右にはげしく
振ったりしたが、べつにふざけているのではないらしかった。
ふざけているのでなければ、神経の失調である。
日常もっとも多く見うけられる失調は、言うまでもなく酒に酔った場合である。
P61
遺書にもさまざまな遺書がある。
愛しているものは、他人の心の中にとどまろうとして、種子のような遺書を書く。
憎んでいるものは、他人の心に死をまいて、道づれにしようと毒のような遺書を書く。
絶望したものは、他人をもたないから、自分の死を記録するだけの短い遺書を書く。
だが、追いつめられたぼくは、死にたくないのに死ななければならないぼくは、どんな遺書を書けばいいのだろう?
……そのことを考えるとぼくは苦しい。
ぼくは理由のない遺書を書こうとしているのだ。
死刑囚が殺される前に歌をうたいたくなったり、お茶を飲みたくなったり、
美しい心をもとうと願ったりする、あの条理に合わぬ衝動がぼくを支配しているのだ。
http://www.artunframed.com/images/1gauguin/gauguin59.jpg
P75-
ぼくはいつか、父とそっくりな夢をみるようになっていた。
ぼくを追い出した花園を、なんとか見返してやることが出来たら、さぞかし胸のすくことだろう。
わが研究の成果である分離電極法をたずさえて帰り、消えてしまった温泉脈の心臓をさぐりあて……
いや、いっそ、さらに一歩すすめて、花園に地熱発電をおこしてやったらどうだろう。
そうだ、地熱発電! 発電事業! 二十世紀は電気の世紀だともいうではないか。
地球そのものを炉にする、無限のエネルギーの開発。
すくなくも論理的には可能とされていることなのだ。
たちまち空想のなかで、毎時百トン、百気圧の蒸気の柱が噴出しはじめる。
花園全町が、その蒸気の柱で、ふるえおののく。
そうですね、とりあえず、五万キロワットくらいからでもはじめてみましょうか。
そして、完成した日本最初の地熱発電所の開所式……
町の、いや日本の恩人として、カメラマンにかこまれながら……
やがて花束を手にしずしずと近づく里子を待ち受けている壇上のぼく……
さらにその空想のドリルは、必然的にぼくの心臓をまでも、えぐり抜き、
ついにある日、ぼくは里子にあてて、一通の手紙を書いてしまっていたのでした。
そうした綿菓子のようなぼくの夢の上に、問題の屠殺用ナイフがふりおろされたのも、ちょうど同じころでした。
最近の君の進境にはいちじるしいものがある、そろそろこいつが役に立ってくれるんじゃないのかな、
と、さりげなく秩父博士からさしだされた一冊のパンフレット。
まあ読んでみたまえ、ドイツから直送の極秘文献だが、向うじゃ科学ももう肉弾戦だね。
うかうかしてると負けちゃうぞ。
ありがとう、と、何も知らない羊は右手にナイフをふりかざした屠殺者の左手の塩に、心からの感謝をしたのでした。
http://fujiso4.hp.infoseek.co.jp/har27hp/pars259.jpg
P78
ぼくはもうただ恐ろしかった。
ぼくがぼくであるということさえも恐ろしかった。
もし断ったら……(この問題の裏には陸軍技術本部がひかえている)、ぼくは肉体の自由を失うだろう。
もし断らなかったら……ぼくは意識の自由を放棄しなければならない。
自分で自分を飛びこえることが、こんなに勇気のいることだなどとは、想像してみたこともなかった。
追いつめられて、ぼくは自分をのぞきこんだ。
人間というものは、芯までとどく地球のひびほどもある深さをもっていた。
ぼくはぼくに目がくらんだ。
くらみながら、ぼくがひたすら心待ちにしていたのは、里子からの返事でした。
むろん、里子の返事に、具体的な何かを期待していたわけではありません。
せめて、心の支えがほしかったのです。
勇気のよりどころがほしかったのです。
しかし、けっきょく、なんの音沙汰もないまま
……なんの心の準備もととのわぬまま……最後通牒をつきつけられてしまったのでした。
昭和十八年の暮のこと、今年最後のドイツ大型潜航艇がY港を出港することになり、
ビュッヘル教授もそれで離日するので、できればぼくも同行せよという誘いを、秩父博士を通じて受け取ったのです。
出航予定日の十日前のことでした。
とつぜんぼくは花園町に帰ってみようと思い立ったのでした。
さすがに秩父博士も、この願いには、帰ったらすぐビュッヘル教授に会うことを条件に、しぶしぶながら許してくれました。
しかしけっきょく、ぼくは花園に帰りつけなかった。
休暇で花園町に帰る学生と、偶然車中でいっしょになってしまったのです。
……うまく書けない……ぼくの頭は、あの時と同じようにはげしく混乱し……皮をむかれた蛙のように、こごえてしまう……
ぼくが話題にしたのは、あの古バスのことだったはずなのに、
その学生は、待っていましたとばかりに、里子の消息を面白おかしく喋りはじめたのでした。
里子が十五の年、藤野幸福――ぼくの母を催眠術で変にしてしまったあの男――から、
やはり催眠術で手ごめにされたというのです。
そして気が狂った………………気が狂った里子はあのバス小屋の中に監禁された。
強姦者は二十円の罰金を課された。里子の母は慰謝料で飲屋を開いた。
それから………………里子はチフスで死んでしまった。……いや、ぼくには、もう書けない。
……とんだ笑い話だ……とんだひもじい様のごりやくだ。
ぼくは汽車をおりて、すぐ次の汽車で東京に戻りました。
……疲れた。もういやだ。書きはじめてからもう一と月たっている。
そのあいだにぼくは三ヶ所も居所を変えた。この遺書が、はたして何かの役に立ってくれるだろうか?
もう沢山だ。どうせ君たちはぼくを離しはしない。
今朝も、君たちの仲間の一人が、窓の下に張り込んでいるのを見とどけてしまった。
ぼくは疲れたよ。
最後に残ったこの千円札を使いきったら、ぼくはすぐにも花園に帰って死ぬつもりだ。
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P82-
いいとも、こんなしっぽくらい、その時がくれば、あっさり自分の手で切り落してしまってやるさ。
名誉にかけても、他人の目にさらしたりしてなるものか。
いまはペニシリンという便利な薬だってあるんだからな。
もっとも、これが、先祖返りの真性尾だったりしたら……
トカゲの尻尾のように、切っても切っても生えてくるのではなかろうか……
悪くすると、その刺戟で、かえって成長が早まるということにだってなりかねない……
なにより気になることは、はじめは一年に三、四日の痛みだったのに、それがやがて一ヶ月ごとにちぢまり、
最近ではついに半月ごとのサイクルになってきたことだ。
……必要以上に気にして、いじくりすぎたのがいけなかったのかな?
きっとそうだ。
それだけのことだったのさ。
どうもおまえは、なんでもいじくりすぎる癖がある。
いじくりすぎたら、なんだって変になるよ。
鼻だって、夏ミカンになる。
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P116
……むろん、上に立つものは、いろいろと細いところにまで気をくばらなけりゃならんものさ。
民衆はつねに、支配者をもとめている。
支配者とはつまり、社会秩序の象徴だな。
象徴とはすなわち、目にみえないあるものだ。
したがって、支配者はなるべく人目をさけ、想像の煙幕のなかに、身をかくしていなければならん。
その煙幕の陰にいるかぎり、連中は自分の理想に合わせて、私の肖像をえがいてくれるのさ。
だが、いまの私が身をかくすには、このおんぼろ車の排気ガスじゃ、少々もの足らないように思うんだがね。
http://www.fantasy.fromc.com/art/klimt3.jpg
P118-
しかし、それは報復が屈辱になり、屈辱が報復になるはじまりにすぎなかった。
太助は寄生虫のように、多良根の約束にしがみつき、中学も一番でとおし、
S市の農業専門学校に入ることができたが、これはアキレスと亀の詭弁にも似た、憎悪の永久運動だった。
この二人が、もしダンテの地獄におちたとしたら、たがいにしっぽをくわえあう二匹の蛇の姿に変ったことだろう。
優等生花井が賞状を手に、多良根と並んでにっこり笑っている写真が、学年のかわり目ごとに、花園通信のトップをかざる。
その日多良根は、新聞をひきさいて癇癪をおこし、花井は一晩、枕を噛んですすり泣くのだった。
こうした感情は、しかしやがて多良根に対する抜きがたい畏怖として、花井の心に奥深く定着していったらしい。
姉の里子の死を境にして、逆に極端な多良根の讃美者に変ってしまいさえした。
代弁人になり、スパイになり、忠実な犬のようにふるまいさえした。
地中に深く不発弾を埋めこんだまま、手入れだけは見事にゆきとどいた、花壇のように……
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P121
……ココ、コッコッ、ココ、コッコッ……
手足がこごえたように、動かなくなり、花井はあわててハンドルにしがみつく。
鬼火のような緑色の光が次第に濃く、車はその奈落のふちすれすれに走っている。
思いきって、車もろとも、落ちこんでしまおうか……。
……ココ、コッコッ、ココ、コッコッ……陰謀をたくらんでるな、と多良根が嘲笑うように叫んだ。
折檻してやりましょうや、と奈落の底から答えるものがあった。ウルドッグの声だった。
……ココ、コッコッ、ココ、コッコッ……だいそれたやつだ、人間並にあつかってやると、すぐこうだから、困る……
いまのうちに、思いきり、いためつけておいてやれ……ズボンをはぎとり、しっぽをつまんで、つるしあげてやれ!
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P166
……ふた月とすこしたった。
桂川が、空のボール箱をはじいたような音をたてて鳴った。
上流の雪がとけ、急に水カサが増した証拠である。
道路はぐしょぐしょになり、そこからたちのぼるほこりっぽい蒸気が、
キャラメル工場のにおいとまじりあって、町中がまるで病み上りの病人の寝床のようだ。
壁ぎわや、立ち樹の根もとの陽だまりには、もうかなりまえから春がきていた。
春は、日一日と数を増し、今日は昨日の二倍、明日は今日の二倍、
あさっては、たぶん、軽石のように穴だらけになった雪のかたまりが、日陰の枯草にでもしがみついていることだろう。
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P184
「いや、行ったよ。」
と、それまで物思わしげに爪をかんでいた狭山が、わざと出し惜しんだように、意地悪な調子で口をはさんだ。
じつは彼も重苦しい不安感に、悩まされつづけていたのである。
彼の悩みというのは、小さな幾つかの疑問が、職場での圧迫感と結びついて、飢餓同盟にたいする不信をうみ、
それが人生のあらゆる疑いにひろがっていこうとすることへの恐怖だった。
彼は、発電会社の財務部長ときまってから、急に職場に対する不満をつよめた。
彼をふくめて、駅員たちはあまりに卑屈すぎると思った。
駅長がモットーとする、家族主義だって、要するに本人の行動が家族との連帯責任において、
拘束されるということにすぎないのではあるまいか。
分会長にしても、駅長のマージャン友達であり、組合員の味方であるよりは、むしろ監視人にちかい。
花井の意見によれば、やはり分会長と駅長が対立するまで、気ながに待つことだという。
が、しかし、春の人員整理は、すでに予告されてしまったのだ。
駅長のやり方はきわめて巧妙で、誰がやめるかを、仲間同士のあいだの話しあいできめるようにと言っている。
なに、そんなことに、いちいちめくじら立てるのは、革命の素人のやりかただよ、
と花井は軽く受け流し、それじゃ君が、その希望退職者の第一号を、すすんで引き受けてやればいいじゃないか。
大発電会社の重役たるものが、駅の切符切りくらいにこだわっているなんて、こっけいだよ……
だが、そんなことで、いいのだろうか?
花井さんだって、くびになったときには、三日も眠れずに悶々としていたじゃないか。
発電所だなんて、どう考えても話がうますぎるよ。
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P201-
「まあまあ、とにかく織木さんを、小屋にはこばなくちゃ。」
と、矢根の仲裁で、二人ともやっと我に返って、気まずくうろたえた。
とくに森は、自分のみせた憎悪の発作に、やりきれないほどの虚しさを感じていた。
こっけいだと感じるべき場面で、腹を立てたとなると、
それは自分も登場人物の一人になってしまったことの証拠にほかなるまい。
花井が先に立ち、矢根が頭を、森が足を支えて、野辺送りのように畔道をすすんだ。
花井はべつにはっきりした意味もなく、許さんぞ、許さんぞ、とただ心の中でくりかえしながら、
森は、なにが逃げることで、なにが停ることか分らないと言った、織木の言葉を遠くに思いだしながら。
……まったく、花井のことなんかを、たとえ一パーセント程度にもせよ、なぜ信じる気になったのか?
むろん、あのあまりにも屈辱的な状況から、逃げだしたいばっかりに、
つい劇中人物にまぎれ込んでしまったにちがいないが。
しかし、おれのような人間は、いつも逃げだそうとしながら、実は停ることを選んでいる場合が多いのだ。
火の中に手を入れても火傷せず、水の中に手を入れてもぬれない、そんな世界がおれの花園のつもりだったのだ。
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P212
森がトランクをさげて、仲通りを駅の方に歩いていくと、おまつり気分の人波が、
ぞろぞろ西の方に流れていくのに出会った。
森の顔を見おぼえている子供がいて、温泉が出たそうだよ、見に行かないの、と教えてくれた。
まだ二十分ある、のぞくだけは、のぞいてみようかと、流れについてしばらく行くと、
県道をこえた畠地のあたりで、やがて大きな人垣にぶっつかった。
その向うに、白い蒸気の柱が、サーチライトの光に照らし出され、発狂した薄布の束のようになって、
うなりながら見物人の上で渦まいているのが見えた。拍手がおこり、それから楽隊の演奏がはじまった。
ふと後ろから、群集をかきわける、警備員の声がする。
こじあけられた人垣のあいだを、かき分けてやってくるのは、なんと花束をかかえた振袖姿の、藤野うるわしではないか。
うるわしは、ちらっと森に無関心な視線を投げかけると、そのまま前をとおりすぎ、
ゆうゆうと人垣の向うに吸いこまれていってしまった。
◇
森は思った。
まったく、現実ほど、非現実的なものはない。
この町自体が、まさに一つの巨大な病棟だ。
どうやら精神科の医者の出るまくなどではなさそうである。われわれに残されている仕事といえば、
せいぜいのところ、現実的な非現実を、かくまい保護してやるくらいのことではあるまいか。
森は人垣をはなれて、歩きだした。
しかし、駅の方にではなく、いまやって来た道を、もう一度診療所の方へ……
あたらしい勤め先がきまるまで、どのみちたっぷり暇なのだ。
傷だらけになった、飢餓同盟に、せめて繃帯のサービスくらいはしてやるがいい。
森ははじめて、自分が飢餓同盟員であったことを、すなおに認めたい気持になっていた。
正気も、狂気も、いずれ魂の属性にしかすぎないのである。
http://www.artunframed.com/images/artmis31x/gogh85.jpg
唐揚げ