http://gigazine.net/news/20140621-google-win-authors-guild-again/ Googleが提供するGoogle booksは、出版されている書籍をスキャンしてデータ化することでオンラインで本文を検索できるようにする試みで、
著作者を中心とする団体(Authors Guild)から著作権法違反であるとして、複数の訴えを起こされています。
今回、Googleによる大学図書館の蔵書のスキャン行為を巡って著作権侵害を理由に訴訟を起こし一審で敗訴したAuthors Guildが
判決を不服として上訴した上級審で、あらためて「Googleのスキャン行為は合法」との判断が下されました。
アメリカの大学図書館を中心に結成されたHathiTrust(ハーティトラスト)は、蔵書をスキャン・デジタル化してアーカイブすることで、
書籍を半永久的に保存し広く世界中の人にデジタル化した資料を閲覧できるようにすることを目的とするプロジェクトです。
2008年10月にカリフォルニア大学を中心として創設されたHathiTrustは、高尚な理念に共感する多くの大学や図書館の賛同を得て
活動の範囲を広げており、慶応義塾大学が資料を提供するなど書籍をアーカイブ化する流れが世界的に広がっています。
HathiTrustと同じく書籍をデータ化して検索できるようにしようとするGoogleは、Google booksプロジェクトでデジタル化した書籍データを
HathiTrustに提供するなど、HathiTrustの書籍スキャニングに協力しています。
GoogleやHathiTrustによる著作者に無断で書籍をデータ化することを快く思わない著作者団体Authors Guildは、
書籍をスキャンするGoogleを訴えるだけでなく、Googleのスキャンした約700万冊の書籍データをHathiTrusに登録したことが著作権侵害に当たるとして、
カリフォルニア大学・コーネル大学・ミシガン大学・ウィスコンシン大学・インディアナ大学の大学図書館を訴えたところ、
2012年10月に、「HathiTrustによる書籍のアーカイブはフェアユースにあたり著作権侵害ではない」とする判決が下されました。
この判決を受けてAuthors Guildは、連邦巡回区控訴裁判所に判決内容を不服として上訴し審理が続行していましたが、2014年6月10日に、
HathiTrustによる書籍のアーカイブはフェアユースにあたり著作権侵害ではないとする連邦地方裁判所の判決を支持し、
Authors Guildの訴えは退けられました。
判決では、HathiTrustによる書籍のデータ化ならびに公開は、書籍の全文を複製するものであることには間違いないものの、
「HathiTrustの書籍をデータ化することで後世にわたって書籍を保存するという目的の正当性ならびに災害による消失のリスクを軽減するために
合理的であることを考えると、著作権法によって認められる著作者保護の目的に照らしても過剰または不合理な行為と認める理由はまったくない」
として、フェアユースに該当し違法ではないとの判断がなされています。