【サンクトペテルブルク=平尾孝】G20首脳会合で合意した銀行を通さない金融取引
「シャドーバンキング(影の銀行)」の監視強化は、2008年秋のリーマン・ショックのような
世界的な金融危機の再発防止が狙いだ。当初の規制づくりで想定していなかった中国の
「理財商品」と呼ばれる金融商品の問題についても、実体の把握を加速させる効果が期待される。
新たな監視強化策は、G20を含めた25カ国・地域の金融監督当局でつくる金融安定理事会
(FSB)の加盟国に対して、シャドーバンキングの情報を収集すると同時に、損失が出た際の
金融市場への影響を検証することを求めた。ヘッジファンドやデリバティブ(金融派生商品)などの
取引に一定程度の資本を持つことや担保を取ることを義務付け、損失発生時の対応を強化する。
各国が情報を共有して定期的に点検することでも合意した。
シャドーバンキングは、銀行の通常取引に比べて規制が緩く、監視の目が届かない問題が
指摘されていた。
とくに最近になって問題視されているのが中国だ。シャドーバンキングを通じた昨年末の
中国国内の金融取引総額は、中国社会科学院調べで約233兆円にのぼる。中国国外では
購入できないため、海外の投資家が被害を受けることは少ないとみられている。しかし、
取引規模が巨額だけに「世界経済の停滞につながる大きなリスク要因」(第一生命経済研究所の
西浜徹主任エコノミスト)との見方もある。
こうした点を踏まえ、日本は、麻生太郎財務相が6日未明の会見で「金融システムに対する
リスクとなるようなヘッジファンドなどに適切な対応をとるのであれば、監視・規制の強化を
日本としても支持できる」と賛同の姿勢を示した。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130907/fnc13090709160004-n1.htm