【ワシントン=柿内公輔】
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の“古傷”が再燃した。
フランスの司法当局は20日、仏財務相時代の職権乱用疑惑でラガルド氏のパリの自宅を捜索。
ラガルド氏は潔白を訴え、IMFも「身体検査」に問題はなかったとするが、波紋を広げそうだ。
捜索を報じた欧米メディアによると、ラガルド氏は仏財務相時代の2007〜08年に、仏実業家が
元国営銀行クレディ・リヨネを相手取り株式投資の損失補填(ほてん)を求めた訴訟に不正に介入し、
実業家に有利な調停に導いた疑いが持たれている。
ラガルド氏の弁護人は「犯罪行為に関与していないことが(捜索で)はっきりするはず」と強気だ。
ただ、当局は職権乱用疑惑が強まり捜索に踏み切ったとされる。最近は捜査の動静がほとんど伝えられず、
疑惑が沈静化した感もあったが、ラガルド氏の身辺がまた騒がしくなりそうだ。
ワシントンが本部のIMFにも動揺が広がった。ライス報道官は要請したメディアにのみ声明を配布。
「理事会は、専務理事の選出前に(疑惑を)協議し、職責を果たせると確信した」と強調するが、
事件については、「当局が捜査中で、コメントすることは不適切」と歯切れが悪い。
前専務理事の不祥事で就任したラガルド氏は、IMF改革に取り組んでいる最中。
IMFはキプロスの金融不安など欧州債務危機への対応に積極的にかかわり、来月には総会も控える。
あるIMF関係者は「“長期戦”を覚悟している」とこぼすが、トップが抱え込む火種に周囲がおびえる状況が続きそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130321/erp13032120200005-n1.htm