ウクライナ議会選:民族主義政党が躍進 初の議席獲得
【モスクワ大前仁】10月末の旧ソ連のウクライナ最高会議(国会)選で、
急進的な民族主義政党「自由」が初の議席獲得を決めた。
人気ボクサーのビタリ・クリチコ氏が設立した新党「改革のためのウクライナ民主連合(ウダール)」と並んで、
既存政党への不信感を強める有権者から支持獲得に成功した。
議席数は未確定だが、「自由」は36議席前後を得る見通し。
前回の07年議会選では1%未満だった得票率が今回は比例代表区で10%へ急伸。
愛国主義的な傾向が強い西部の小選挙区でも議席を確定した。
「自由」は91年に「ウクライナ社会国家党」として結成し、04年に現党名へ変更。
かつてはナチス・ドイツのシンボルマークを使っていたが、その後に取りやめたという。
現在は「ウクライナの権益が最も重要」と主張しながら、欧州連合(EU)との友好関係も唱えるなど、一定の柔軟姿勢も見せている。
今回の選挙戦では排外的な主張を抑制する一方で、年金基金の拡充や中小企業の保護を訴えることで
中道層からも一定の支持を得たとみられる。
さらに、04年の民主化運動「オレンジ革命」で立役者となったユーシェンコ前大統領とティモシェンコ前首相が
対立・決裂したことを受け、両者の支持勢力の一部が「自由」支持に回った。
新党のウダールは汚職撲滅を主要テーマに掲げて都市部で支持を広げ、38議席前後を獲得する見通し。
ウダールと「自由」は、野党第1党「ティモシェンコ連合」と政策連携を検討する方針だ。
一方、ユーシェンコ前大統領が率いる野党「われらのウクライナ」は、
「自由」などに支持層を奪われたことが響き、改選前の63議席すべてを失うことが確実となった。
毎日新聞 2012年10月31日 19時46分
http://mainichi.jp/select/news/20121101k0000m030033000c.html