米原子力規制委、原発周辺住民の発がんリスク調査へ 20年ぶり
2012.10.24 Wed posted at 11:16 JST
(CNN) 米原子力規制委員会(NRC)は23日、原発の周辺に住む住民の発がんリスクについて調べるため、
約20年ぶりの調査を実施すると発表した。
まずコネティカットやカリフォルニアなどの州にある7カ所の原発などで、試験的な調査に着手する。
原発周辺住民の発がんリスクをめぐっては、米国立がん研究所が1991年に発表した大掛かりな調査で、
周辺住民ががんで死亡するリスクが高いことを裏付けるような結果は出なかったと結論付けている。
NRCは20年以上にわたってこの調査を根拠として利用してきた。
しかし、この調査結果が時代遅れとなり、調査や分析の方法も進歩したことを受け、
改めて調査を実施することにしたとNRCは説明する。
NRCは、原子炉から放出される放射線量の現在公表されている数値から判断すると、
近隣住民の発がんリスクが高まるという結果は出ないはずだと指摘する。
それでも調査に踏み切るのは、健康上の不安を訴える声に対応し、不安を和らげる目的で利用できると判断したためだという。
調査には全米科学アカデミーが協力し、まず原発6カ所と核燃料施設1カ所で今後数カ月以内に、
発がんリスクに関する試験的な調査を実施。その結果を受けて、全米に104カ所ある商用原発に調査対象を拡大する見通しだという。
試験的な調査は2〜3年で完了し、約200万ドルの予算を見込む。
米国立がん研究所の91年の調査では、62カ所の核施設周辺に住む107郡の住民の発がんリスクを調べ、
それ以外の郡の住民と比較した。
その結果、郡によっては特定のがんを発症する比率が高いこともあれば、低いこともあったものの、
核施設の存在と関連付けられるような差は見当たらず、
核施設周辺でがんによる死亡の一般的なリスクが高まることはないと結論付けていた。
今回の調査実施について原子力エネルギー協会(NEI)は、疫学調査は膨大な資源を必要とするにもかかわらず、
潜在的リスクについての科学的理解を深めるような結果はほとんど期待できないと述べ、反対を表明している。
CNN
http://www.cnn.co.jp/usa/35023484.html