米 タリバンの一派をテロ組織に
9月8日 8時54分
アメリカ政府は、アフガニスタンの反政府武装勢力、タリバンの一派で、
パキスタンを拠点にしている「ハッカーニ・グループ」をテロ組織に指定し、
資産の凍結などを行い圧力を強めていく姿勢を示しました。
アメリカ国務省は7日、タリバンの一派で、パキスタンを拠点に隣国のアフガニスタンでテロを繰り返している
「ハッカーニ・グループ」をテロ組織に指定し、アメリカ国内にあるグループの全資産を凍結するなどしたと発表しました。
クリントン国務長官は「グループが暴力行為を行う能力を弱めるべく圧力を加えていく」としています。
アメリカ政府は、去年からことしにかけて、アフガニスタンでアメリカや日本の大使館などが襲撃された事件について、
「ハッカーニ・グループ」の犯行だとみており、アメリカ議会がテロ組織に指定するべきだとして、
アメリカ政府に今月9日までに判断を示すよう求めていました。
「ハッカーニ・グループ」を巡っては、アメリカ政府が、パキスタンが支援しているとして批判を強めているのに対し、
パキスタン政府はこれを否定して、両国の関係が悪化する一因となってきました。
オバマ政権は今回、議会の圧力を受けてテロ組織の指定を決断した形ですが、
パキスタンとの関係や、アメリカがタリバンと水面下で進めてきた対話にも影響するのではないかという見方も出ています。
タリバン“対話に支障”と警告
アメリカ政府が、アフガニスタンの反政府武装勢力、タリバンの一派「ハッカーニ・グループ」をテロ組織に指定したことについて、
タリバンはアメリカとの間で進めてきた和平交渉に向けた対話に影響を与えると警告しています。
中東のカタールでアメリカと水面下で対話を続けてきたタリバンの交渉団の1人、シャヒーン氏は先月、
NHKのインタビューに対して、「アフガニスタンの問題を平和的に解決できないか話し合っているときに、
われわれの一派をテロ組織に指定することは双方の対話に支障を来す」と警告していました。
また、別のタリバンの関係者は7日、NHKの取材に対して、
「アメリカが和平交渉ではなく、軍事的に解決する手段を選んだ証しだ」と述べるとともに、
アメリカが強硬な姿勢を示すなら、タリバンとしても応戦せざるをえないと主張していて、
今後、戦闘が一段と激しさを増す懸念も出ています。
パキスタン“関係ない”
一方、パキスタン政府は「これはアメリカの内政問題だ。『ハッカーニ・グループ』はパキスタン人のグループではなく、
われわれには関係ない」とする声明を発表し、静観する構えを示しています。
しかし、パキスタン政府は、これまでも、アメリカからパキスタン北西部にあるハッカーニ・グループの拠点に
軍事作戦を仕掛けるようたびたび求められていて、今回のテロ組織の指定を受けて、
今後、アメリカの圧力が一段と強まるのではないかという見方も出ています。
NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120908/k10014877921000.html