英国で報道倫理めぐる調査委 俳優ヒュー・グラント氏も証言
2011.11.22 Tue posted at: 12:20 JST
ロンドン(CNN) 英大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの電話盗聴事件をきっかけに設置された
報道倫理に関する調査委員会で21日、俳優のヒュー・グラント氏らが証言し、
英紙に自身の留守番電話を盗聴されたことがあると主張した。
ワールド紙では、記事の情報源とするため記者らが盗聴を繰り返していたとされ、
2007年に王室担当記者と契約調査員が有罪判決を受けた。
その後、02年に誘拐、殺害された当時13歳の少女の電話も標的となっていたことが判明。
事件当時、亡くなっていたはずの少女の留守番電話にアクセスして一部のメッセージを削除するなど、
捜査当局や遺族を混乱させる行為もあったとされる。同紙は今年7月、廃刊に追い込まれている。
グラント氏は調査委での証言で、少女の電話を盗聴した同紙の行為を「卑劣で衝撃的」と非難。
さらに、かつて自身と元交際相手とのいさかいを報じた大衆紙メール・オン・サンデーの記事について、
情報源は電話盗聴以外に考えられなかったと述べた。
同氏は当時、同紙に虚偽の報道で名誉を傷付けられたとして訴えを起こし、勝訴している。
グラント氏はさらに、交際中の女性が強盗に遭ったと警察に通報した際、
警官より先に芸能カメラマンが現場に現れたと話し、警察が報道陣に情報をリークしている可能性を指摘した。
調査委では、誘拐殺人事件の被害者少女の両親も証言に立った。
母親は事件当時、留守番電話のメッセージを削除したのが少女自身だと思い込んで
「生きている」と希望を持ってしまったと語り、不正アクセスだったと知った時の落胆を振り返った。
ワールド紙の親会社ニューズ・コーポレーションは先月、
少女の遺族に200万ポンド(約2億4000万円)を支払うことで合意。
同社を率いるメディア王ルパート・マードック氏はさらに、慈善団体に100万ポンドを寄付した。
マードック氏は盗聴が限られた一部でのみ行われていたと主張してきたが、
調査委によると、有罪判決を受けた契約調査員のノートには、
グループ内で少なくとも28人から、のべ2266回の依頼があったことが記録されているという。
またグラント氏らの証言からは、スキャンダルの範囲が
マードック氏傘下にないメディアにまで広がっていることがうかがえる。
警察の捜査によると、報道陣による留守番電話盗聴などの被害は芸能人や犯罪被害者、
政治家、王室関係者ら約5800人に及んでいるという。
CNN
http://www.cnn.co.jp/business/30004672.html