(CNN) オバマ米大統領は21日、イラク駐留米軍を年内に事実上、完全撤退させると
発表した。
オバマ大統領は「約9年間に及んだイラク戦争が終結する」と述べ、「向こう数カ月間は
帰国シーズンとなる。イラクにいる米軍兵士は全員、年末休暇までに帰国する」と語った。
またオバマ氏は、イラク戦争を終結させるという2008年の大統領選での公約を果たす
と述べた。イラク戦争は2003年の開始以来、米国の世論を二分し、これまでの米国民の
犠牲者は4400人以上に上る。
人命の犠牲だけではない。米議会調査部(CRS)によると、過去10年間に米国防省が
イラクにおける軍事活動に費やした費用は約7570億ドルに上り、同省の予測を500億
ドル上回ったという。
オバマ大統領は21日にイラクのヌーリ・マリキ首相と電話会談を行い、今後の方針に
ついて話し合った。イラクの首相官邸の声明によると、マリキ首相とオバマ大統領は
両国の戦略的関係の新たな段階をスタートさせる必要があるとの認識で一致し、
2週間以内に高官レベルの会談を開くことで合意したという。
しかし、21日の発表に対し、共和党議員からは批判の声が上がっている。2008年の
大統領選でオバマ氏と争ったマケイン上院議員は、「この決定は、中東における米国の
敵、特に米軍のイラクからの完全撤退を強く求めてきたイラン政権の戦略的勝利とみな
される」とし、オバマ政権の「重大な失敗」と痛烈に批判した。
これに対し、デニス・マクドナウ国家安全保障問題担当大統領次席補佐官は、イランは
すでに弱体化、孤立化しており、イラクからの米軍撤退がイランに影響を及ぼすことは
ないと反論した。
http://www.cnn.co.jp/usa/30004345.html