中国とロシアは昨日(26日)、安保理の審議事項にシリア情勢を含めることを拒否した。
一方、非常任理事各国は、デモ参加者への弾圧をめぐってシリア当局を非難し、改革とデモ権を認める
国際的人権の尊重を要求するための決議にレバノン(アラブ世界唯一の非常任理事国)が同意していないことを口実にあげた。
一方、西欧諸国はシリア政府への圧力を続け、ワシントンは在ダマスカス大使館の部分撤収を命じた。
フランスとイタリアは「懸念」を表明し、シリア政府に対して「平和的デモへの野蛮な弾圧の停止」を呼びかけた。
英国は、抗議行動への暴力の行使が続けられれば、各国とともにシリア政府への制裁をめざすことを確認した。
複数の情報によると、現地ではシリア軍が発砲と戦闘が続くダルアー市に増援部隊を送った。また治安部隊が昨日、
バーニヤース市周辺の丘陵に集結し、予想される攻撃の準備に入った。
またドゥーマー市でも大規模な治安部隊が展開し、住民の外出を禁じた。
安保理メンバーの一部の国は、シリアでの事件をめぐってレバノンが反対の立場を示し、
アラブ連盟が立場を表明しない状況下で「身を潜め」、
安保理での審議事項にシリア情勢を提示することに異議を唱えた際の非難を回避しようとしている。
しかし安保理メンバーの欧州4カ国は、シリアでの事件を無視しないよう動き、シリア当局がデモ参加者に過度の力を
恒常的に行使する事態がもたらす惨状に対処するよう、ロシア、中国、レバノンに圧力をかけている。
安保理は昨日夜、シリア情勢を含む中東・北アフリカへの最近の遊説と題して
潘基文国連事務総長のブリーフィングを聴取するため、非公開会合を準備した。
『アル=ハヤート』が得た情報筋によると、潘事務総長のブリーフィングは安保理でシリア問題を公式に提示する「原動力」となり、
今月の安保理議長であるロンドノ・コロンビア大使は安保理の議題にシリアに関する問題を提示する決定を強行しようとしている。
同情報筋はまた、デモ参加者に対する軍事的措置の内容を踏まえ、しかもそれが継続した場合、
シリア情勢に関する安保理での動きを中国、ロシアが阻止するのは非常に困難であろう、と述べた。
中国外交筋はいわゆる「シリア情勢の重大さ」と問題に対する「警戒の必要性」に目を向けている。
中国高官筋は北大西洋条約機構(NATO)が今度は行動を伴わない言葉を押しつけようとしているとしたうえで、
「もしシリア情勢に関してNATOに何らかの計画や提案があるのなら、どうぞ我々に示して欲しい、
我々はそれに目を通す容易があるのだから」と述べた。
同消息筋の立場は、中国がシリア当局に(弾圧を)促し、制裁から守ろうとしているように思われかねないことへの懸念を伴っていた。
また主なアジア諸国の間でも、シリアを人権委員会メンバーに指名することに懸念が高まっており、
その結果、シリアの指名をとりさげ、ほかのアジアの国を代わりに指名することを検討する準備が進められるようになっている。
レバノンは重要な地位を占めている。なぜなら、ナウワーフ・サラーム国連代表大使はリビア問題を安保理に
付託するのに主導的な役割を担い、ムアンマル・カッザーフィー大佐を国際司法裁判所に起訴し、
トリポリの体制に対する国際的な措置を発動するための制裁決議発動の背後で活動してきたからである。
シリア情勢に関して、ベイルート外務省から得た情報によると、安保理で抗議行動をめぐってシリアを
非難する決議を提出することには反対している。
レバノン外交筋は、リビアでの事件では安保理内で「我々が表明すべき立場があった」が、シリアの事件に対する
アラブの立場に関しては「状況は同じでない」とし、この立場を正当化している。
安保理消息筋によると、レバノンは、アラブ諸国の立場が確定していないことを口実に、
西欧諸国、すなわち英国、フランス、ブルガリア、ドイツが準備した決議案の安保理への提出を遅らせようとしている。
安保理メンバーによる声明発表には、声明への全メンバーの合意が必要であり、複数の国が声明(案)作成への
参加を控えることはできないが、声明発表を拒否する権限はある。
欧州諸国がレバノンを筆頭に複数の国が拒否している声明の発表を行わないかたちでの公式な非難に満足するか否か、
あるいはそれ以外の代案があるかは明かではない。...(省略)
【ニューヨーク、ローマ、ダマスカス、アンマン、アンカラ、ワシントン:本紙、APF、ロイター、AP】
el.tufs.ac.jp2011年4月27日『アル=ハヤート』
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110427_175803.html