インドで、政府に批判的な著名言論人に対し、扇動罪が適用される例が相次いでいる。
この罪は最高刑が終身刑の重罪で、「国家による言論弾圧だ」との批判が起きている。
医師で人権活動家のビナヤク・セン氏が先週末、扇動罪で終身刑の判決を受けた。
インド中部チャティスガル州の奥地で少数部族民の保健医療に長年携わり、国際的に
表彰されたことがある人物だ。
その一方で、同州などを基盤とする反政府勢力「インド共産党毛沢東主義派(毛派)」
への治安部隊による掃討作戦に対しては、批判していた。
セン氏は人権団体幹部として接見した収監中の毛派活動家から手紙を託され、
別の関係者に取り次いだ疑いで2007年に逮捕された。
今月24日、同州の地裁が終身刑の判決を下した。
毛派など非合法団体の支持者に対して、一般的に適用される最高刑は10年。
このため法律専門家の間から「終身刑は重すぎる」と批判が起きた。
一方、首都ニューデリーの警察当局は11月、英ブッカー賞を受賞した女性作家
アルンダティ・ロイ氏に対し、扇動容疑で捜査を始めた。
ロイ氏はパキスタンとの係争地カシミールをたびたび訪れ、治安部隊の弾圧に抵抗し、
分離独立を求める地元民に共鳴。
10月に行われた集会で「歴史的にみて、カシミールはインドの一部ではなかった」と
発言し、問題視されていた。
一連の扇動罪の適用に対し、世論は割れている。
インターネットの書き込みでは「反国家分子はどんどん投獄せよ」
「カネを渡して米国に亡命させればよい」などとバッシングが横行している。
一方、首都中心部で今月27日、開かれた抗議集会では「政府に異議を唱えただけで
扇動罪なのか」「魔女狩りはやめろ」と学生らが気勢を上げた。
ソースは
http://www.asahi.com/international/update/1229/TKY201012290155.html