欧州の91銀行を対象としたストレステスト(健全性審査)では、通過しなかったのは7行で、
不足する資本総額は35億ユーロ(約3900億円)だった。テストは手ぬるいものだったとの
懸念が深まる結果となった。
各国監督当局などが23日発表したところによれば、ドイツのヒポ・レアルエステート・
ホールディング、ギリシャ農業銀行のほか、スペインの貯蓄銀行5行が、リセッション
(景気後退)やソブリン債危機を想定したシナリオにおいて、中核的自己資本(Tier1)
比率が定められた最低基準の6%にとどかなかった。
同テストを統括した欧州銀行監督者委員会(CEBS)は、ウェブサイトに掲載した文書で、
不合格となった銀行は、テストの結果や増資の必要性に関して各国当局と「緊密に連絡」
を取っていると説明した。債務危機によりギリシャやスペイン、ポルトガルの国債相場が
急落したことを受け、各国政府は自国の金融機関の健全性に対する投資家の不信を是正
したい考えだ。
ノムラ・インターナショナルのアナリスト、ジョン・ピース氏(ロンドン在勤)は、
「不合格の銀行がもっと多く、増資額も増えていたら、テストの信頼性は高まっていた」
と指摘。「不合格行がこれだけしかなかったことには皆、驚くだろう」と述べた。
CEBSによると、ストレステストは銀行が取引する債券について欧州諸国のソブリン債に絡む
損失を査定したものの、償還まで保有する債券については対象としなかった。このことに
ついてアナリストらは、ストレステストが銀行の保有するソブリン債の大半を考慮に入れな
かったことを意味すると指摘している。
不合格銀行
エボリューション・セキュリティーズのアナリスト、ゲーリー・ジェンキンス氏はリポートで、
「待望のストレステストだったが、結局はそれほどストレスの多いものにはなっていない
ようだ」とし、「最も論議を呼ぶのは銀行のソブリン債保有の扱いに関する部分だ」と
言及した。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)とドイツ連邦金融監督庁(BaFin)の共同声明によると、金融
危機の打撃を受け独政府に救済された同国不動産金融大手のヒポは、ストレステストの対象
となった国内14行のうち唯一、不合格となった。
ギリシャ政府が77%出資するギリシャ農業銀行は、不足資本が2億4260万ユーロとなり、
増資を行うことを明らかにした。
スペインでは27行がテスト対象となった。不合格となった貯蓄銀行はカハスール、カイシャ・
カタルーニャを中心とする銀行グループ、カイシャ・サバデルを中心とする銀行グループ、
ドゥエロ−エスパーニャ貯蓄銀行、シビカ銀行。同国最大の銀行、サンタンデール銀行は、
最も厳しいシナリオでTier1比率10%となり、合格した。
Bloomberg(24日05:30)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aR86sjadyWNQ