米露仏の3か国は9日、イランがブラジル、トルコと合意した低濃縮ウランの国外搬出案についての
共通見解を、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長に文書で提出した。
国連安保理のイラン制裁決議採択を直前に控え、途上国の反発を和らげる狙いだ。
米国は9日のIAEA理事会で、イランの核への懸念を表明する一方で、国外搬出案を「積極的措置
となり得る」と評価した。今回の文書も対話自体を拒まない内容とみられる。
国外搬出案は、イランの低濃縮ウランをトルコに搬出、米露仏の協力で燃料化するもので、昨年10
月に米欧と合意したIAEA案を踏襲する内容。
ブラジルなど途上国側には、米国の対イラン批判が、イスラエルの核保有問題への対応と比べて厳し
いとの不満が強い。開催中のIAEA理事会ではイランと途上国の「共闘」が生まれ、非同盟諸国会
議の議長国エジプトが8日、国外搬出案への「歓迎」を表明した。
ただ、米国は昨年10月時点よりイランの低濃縮ウラン備蓄が格段に進んだことを懸念し、燃料化に
協力する理由を失った。外交筋は「国外搬出案実現の可能性はほぼないが、米国は途上国の支持を集
める案には反対もできない」とみている。
ソース:YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100609-OYT1T00975