◇訴訟で生計立てるホームレス、少なくとも4件の和解で40万ドル得る。
“訴訟大国”と言われる米国では、日本では信じられないような訴えや
賠償金額が認められるケースも少なくない。しかも、中には訴訟を
起こしては賠償金を手にして生活するホームレスもいるそうだ。
米国の61歳の男性は、20年前に図書館を相手にした訴訟で
23万ドル(約2,100万円)を勝ち取ってから、これまでに
40万ドル(約3,650万円)を荒稼ぎ。わざと体臭をきつくして
追い出されるように仕向けては、「市民権」を盾に自治体や
公共機関を訴えるそうで、次は鉄道会社を標的にしているという。
http://www.narinari.com/site_img/photo/2010-06-01-134434.jpg この男性は、ニュージャージー州を拠点にしているホームレスの
リチャード・クレイマーさん。彼は20年前、ニュージャージー州の
図書館で体臭を理由に追い出されたのを「市民権の侵害」と訴え、
23万ドルの和解金を受け取った。これに味をしめたクレイマーさんは、
医者や薬局チェーン店、カフェ、自治体などに因縁をつけては、
次々と提訴。その成果を米紙ニューヨーク・ポストは「この20年間で、
少なくとも4件の和解で40万ドル」と伝えている。
米ブログメディアGothamistでは、クレイマーさんの“因縁のつけかた”を説明している。
まず、「資金が少なくなったときは、入浴を止めて」わざと自分の体臭をきつくさせて
準備を開始。そして、店や公共の場所でうろついては、「放り出せるものならやってみろ、
と挑発することに時間を費やす」のが手口だという。しかも、「長期に渡って裁判をする
相手よりも、和解にもっていきそうな小さな機関」を狙うなど、標的の定め方まで
熟知しているから、“プロ”と言えるのかもしれない。ちなみにGothamistは、
「彼の名前は本当にクレイマーです」と念を押している。
クレイマーさんがホームレスの生活へと足を踏み入れたのは、1980年に親類との争いで
家を失ってから。神経の問題や糖尿病を抱えているため「働けない」と主張しており、
やむなく自称「訴訟屋」として生計を立てているらしい。かつては「コロラドとウッドバリーに
家を借りた」(ニューヨーク・ポスト紙より)ものの、2005年には「両方とも失った」そう。また、
かなりの額の和解金を受け取ったのが仇となり、「メディケード(低所得者向け医療保障制度)を
落とされ」た結果、現在糖尿病の治療に月2,000ドル(約18万円)かかっているという。
こうした事情から、クレイマーさんは虎視眈々と、訴訟を起こしては和解金を得ようと企んでいる。
次は、駅から強制的に追い出されたとして、鉄道機関のアムトラックとニュージャージー・トランジッドを
訴える準備をしているそうだ。しかし、こうしたクレイマーさんの行動も、いつまでも
続けられないかもしれない。過去に痛い目にあった自治体の関係者が匿名を条件に取材に応え、
「彼のような人に対処する唯一の方法は、無視すること」(Gothamistより)とコメント。
手口が知られるに従って、対策を考える相手も増えてるようだ。
1985 年にサービス拒否されたマクドナルドを訴えなかったことを「私の訴訟キャリアの中で、
一番の後悔」と悔しがっているというクレイマーさん。訴訟ビジネスに生活を頼るのは疑問だが、
少なくともきれいな服を着て、携帯電話にATMカードまで持つ彼は、世界屈指の「
金持ちなホームレス」であることは間違いなさそうだ。
ソース(ナリナリドットコム)
http://www.narinari.com/Nd/20100613645.html