米証券取引委員会(SEC)は16日、米金融大手ゴールドマン・サックスを、サブプライムローン
(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の資産を裏づけとした証券の販売に絡み重要情報を開示
しなかったとして、詐欺行為の疑いで提訴した。
SECはこの証券の購入による投資家の損失額は合計10億ドルとし、ゴールドマンがヘッジファンドの
ポールソン・アンド・カンパニーの利益相反と証券組成内容の選定への関与を投資家に開示して
いなかったと訴えている。
SECが提出した訴状によれば、2006年終わりから07年初めにかけて、米住宅市場に悪化の兆しが
出始めた頃、ポールソンは、サブプライムローンの先行きが暗いと予想していた。
ポールソンはこの予想に基づき、信用格付けが最低ランクでデフォルト(債務不履行)に陥る
可能性が高い債券を特定。その数は100種類を超え、同社はこの種の債券を買い集めた。
07年1月、ポールソンはゴールドマンの当時のバイスプレジデント、ファブリス・トゥール氏と
会い、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を使って、これらの債券の価格下落を見込んだ
投資を行い、利益を得る手助けを求めた。
ポールソンとゴールドマンは、低格付けのサブプライムローンを何種類も集めた証券を組成した上で、
その証券の値下がりを見込んだ反対売買を行う方法を話し合った。
ゴールドマンとトゥール氏は、組成した証券を投資家に販売するには、第三者の関与が必要と判断。
リスク分析会社ACAマネジメントを証券の組成内容の選定作業に加えた。ポールソンとACAは、
07年2月26日またはその前後に、「ABACUS2007-AC1」という証券の組成内容で合意した。
この証券が投資家に販売されてから数カ月で、米住宅市場の崩壊が始まり、証券は紙切れ同然の
価値となった。
一方、ゴールドマンは16日、「SECの訴えは法的にも事実に照らしても根拠はない。徹底して戦い、
当社と当社の評判を守る」という声明を発表。ポールソンも、ゴールドマンの誤解や詐欺的な
マーケティングにポールソン側の責任はないとする声明を出した。
CNN(18日18:33)
http://www.cnn.co.jp/business/AIC201004180009.html