◇<EU大統領>最終候補にルクセンブルク首相 実現はならず
【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU)の「大統領」(欧州理事会常任議長)選出を巡り、
ユンケル・ルクセンブルク首相が最終候補に残っていたことがわかった。
サルコジ仏大統領の反対でつぶれたともいわれる。「幻の大統領」情報が流れる背景には、
サルコジ大統領が金融危機を受け「ユーロ圏財務省」創設を提案、大国主導を恐れる
ユンケル首相が強硬に反対した経緯がある。EUの将来像を巡る思惑の違いが浮き彫りになった。
EU大統領は12月1日に発効するEUの新基本条約「リスボン条約」に規定されており、
19日のEU首脳会議でファン・ロンパウ・ベルギー首相(当時)が選ばれた。
ルクセンブルク政府筋によると、この首脳会議の前、議長国スウェーデンのラインフェルト首相が
仏独英首脳と個別会談。その後、最終候補のユンケル氏に「ロンパウ大統領」を提案。
ユンケル氏は「自分は対抗しない」と矛を収めた。
ユンケル氏「落選」の理由としてダニエル・コーン・ベンディット欧州議会議員は
仏の「拒否権」発動を挙げる。また、仏紙リベラシオンのジャン・カトルメール特派員はブログで
「(他の加盟)26カ国はユンケル氏選出の用意があったが、サルコジ氏が強く反対した」と指摘した。
サルコジ氏は「間違った情報」と否定しており、真相はヤブの中だ。
サルコジ、ユンケル両氏間には昨年秋の金融危機以来の確執がある。サルコジ氏は政策調整のため
(1)ユーロ圏首脳会議の定例化
(2)「ユーロ圏財務省」の創設−−をぶち上げた。
通貨政策を統括する有志国連合「ユーログループ」の議長、
ユンケル氏の影響力をそぐ思惑がうかがえた。
小国ルクセンブルクの主要産業は金融業。銀行に独自の守秘義務を認めていることから
タックスヘイブン(租税回避地)の疑いをかけられ、サルコジ氏は「欧州内部で回避地を
容認したら、外部に示しがつかない」と指摘、ユンケル氏は不快感を示していた。
ソース(Yahoo Japan 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091130-00000006-mai-int