◇インド国内、対米不信も 訪米の首相、関係発展目指す
【ニューデリー=田北真樹子】インドのシン首相は23日(米東部時間22日)、
ワシントンに到着し、5日間の米国訪問を開始した。オバマ大統領は、
政権発足後初の国賓としてシン首相を迎え、インド重視の姿勢を強調する。
両首脳は24日に予定される会談で、テロ対策や気候変動問題などでの
連携強化を打ち出し、過去最も良好といわれる米印関係の裏付けを目指す。
だが、インド側には、オバマ政権が中国やパキスタンを重視していることへの
不信感もくすぶる。
インド外交にとって大きな成果となった、昨年10月の米印原子力協力協定の
締結を契機に、両国関係は緊密さを増した。だが、実際のところ、
オバマ政権になってからのインド側の対米感情は複雑だ。
最近でいえば、17日に署名されたオバマ大統領と中国の胡錦濤国家主席との
共同声明が、インド国内で激しい反発を招いた。
共同声明は「インドとパキスタンの関係改善・進展を支持する。南アジアが抱える問題において対話、
協力などの緊密化の用意がある」という内容だった。これに印メディアは「オバマ大統領が
中国の印パ関係のチェック役を容認?」(地元紙)などと激しく批判。外務省も「印パの2国間の問題であり、
第三国の役割を想定しておらず、必要ともしていない」と反応する事態となった。
印中関係がぎくしゃくしているだけに、米中共同声明での印パ問題への言及は、インド側の琴線に触れた。
また、アフガニスタン駐留米軍トップのマクリスタル司令官が、アフガンでインドの存在感が
増していることについて「地域の緊張を悪化させる」と指摘したことも、インド側の反発を招いた。
マクリスタル司令官の発言は、パキスタンの肩を持ったかのような発言と受け止められたからだ。
国内にはこうした不信感が残るが、シン首相は米印両国が抱える共通の課題について
協力関係を進める姿勢だ。特に、両国の動向が注目される環境問題の分野では、
クリーンエネルギーに関する技術協力で合意が図られそうだ。このほかテロ対策、
経済、通商、核軍縮・不拡散が首脳会談で協議される見通しだ。
米国滞在中、シン首相は在米インド人社会との対話や、
同行したインド人経済団体とともに米経済界との意見交換も行う。
ソース(YahooJapan 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091124-00000058-san-int