カナダ、アザラシ製品禁輸でEUをWTO提訴へ
欧州連合(EU)によるアザラシ製品の禁輸措置に対し、カナダ政府は
27日、自国のアザラシ猟保護のため世界貿易機関(World Trade
Organization、WTO)に提訴すると発表した。
ストックウェル・デイ(Stockwell Day)貿易相は、記者団に対し「われ
われはこの措置に非常に失望している。WTOのガイドラインに違反
していると確信している。(アザラシ猟は)人道的、科学的であり、
持続可能性に関する環境規則に従ったものだ」と語った。
EUは、EU域内27か国におけるカナダ製アザラシ製品の取引禁止
措置を決めていた。棄権したデンマークとルーマニア、オーストリアの
3か国以外はすべて賛成した。
デイ貿易相は、「科学的根拠に基づかずに貿易について判断する
ことは不適切だ。ゆえに本日カナダは、この採決について提訴する
ことを発表する」と述べた。
先住民イヌイット(Inuit)の団体「Inuit Tapiriit Kanatami」のメリー・
サイモン(Mary Simon)代表は、禁輸措置について「動物保護団体の
宣伝キャンペーンに影響された根拠のない非難」と批判した。
15万人のイヌイットを代表する非政府組織(NGO)、イヌイット北極圏
会議(Inuit Circumpolar Council、ICC)のバイオレット・フォード(Violet
Ford)副代表(国際問題担当)は、イヌイットは今後もアザラシ猟を
続けると述べ、法的な対応も検討していると語った。フォード氏は、
「ロシア、アラスカ、カナダ、グリーンランドの全イヌイットが、この問題に
ついてEUに反対する。われわれは数千年前から持続可能な方法に
よる人道的なアザラシ猟を行ってきており、今後も同じことを続けて
いく」と語った。
ソース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2625643/4383285