メキシコ「帰ってきた麻薬戦争」
新型インフルエンザの震源地となったメキシコでは、休校となっていた学校が全州で授業再開し、
地元メディアの報道などによれば、社会の関心は「予防」から「復興」に転じているのだという。そう
した騒ぎのさなかにも、麻薬組織がからんだ暴力事件は頻発していた。初動対応の遅れが批判さ
れた新型インフルエンザ対策はひとまず峠を越え、メキシコ政府にとって再び「麻薬戦争」が重要
課題に“回帰”している。
近隣住民に支えられた家族の嗚咽(おえつ)が漏れる中を、厳しい表情の警察官の手によって葬儀
場に棺が運び込まれた。メキシコ北部、米国と接する都市・ティフアナ。棺は、この街の警察副署長
のものだ。暑い日差しが照りつける中で営まれた18日の葬儀。家族や警察関係者の顔からは、大
粒の汗に混じって涙がしたたり落ちた。
AP通信によれば、副署長は16日、管内の警察支所に乗用車で向かう途中に銃撃された。ロサンゼ
ルス州・サンディエゴへは数キロという国境の街ティフアナは、米国への麻薬密輸の拠点ともなって
いる。政府が取り締まりを強化していたエリアだ。
取り締まる側は、麻薬組織の標的ともなる。葬儀の参列者の表情には、麻薬組織との戦いが今後も
激化することを覚悟したような緊張感がにじんだ。
新型インフルエンザの問題でかすんでしまった感のあるメキシコの「麻薬戦争」。組織間の縄張り争い
や治安当局との交戦で、昨年1年間で約6300人の死者を出した。特に犯罪組織とは無縁の若者が
「運び屋」や「殺し屋」としてスカウトされ、犯罪に手を染めている実情は、4月10日付EXで報じた。
麻薬戦争による治安悪化は、メキシコ国内の有力産業である観光にも打撃を与え、昨年秋以降の金融
危機に続く経済的な損失に拍車をかけた。そこに振ってわいた新型インフルエンザ問題。この国は“三
重苦”に見舞われていたのだ。
米民間機関の景気予測を毎月集計しているブルーチップ調査によれば、メキシコの2009年の成長見
通しの平均は5月時点はマイナス3・5%に落ち込み、4月より0・8ポイント悪化。他の主要国に比べ下
方への振れ方が激しい。カリブ海の保養地カンクンではホテルの休業が相次ぐなど、観光業の不振が
顕著だという。ロイター通信によれば、09年の成長率がマイナス6・2%まで落ち込むとの予測も出てい
る。
新型インフルエンザ対策では、最初の症例確認から10日も有効な対策をとらず初動対応を誤るなど、フ
ェリペ・カルデロン大統領(46)の手腕を問う声が高まった。再び喫緊の課題となった「麻薬戦争」で成果
を挙げることができるのか。大統領は任期6年の中間に差し掛かり、7月に下院選(定数500)を控える。
与党の国民行動党(PAN)が現有議席を大幅に割り込むとの観測もささやかれ始めているという。
【写真】
麻薬組織に銃撃され死亡した警察署副署長の葬儀で、泣き崩れる妻をティフアナ市のホルヘ・ラモス
市長が抱きかかえる。麻薬戦争の出口は見えず、繰り返される悲劇が住民を恐怖に陥れている(18
日、メキシコ・ティフアナ)
http://sankei.jp.msn.com/photos/world/america/090525/amr0905251318006-n1.jpg ▽ソース(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090525/amr0905251318006-n3.htm (一旦切ります、続き・関連スレは
>>2)
(>>1の続きです)
▽世界に広がる麻薬カルテルの「商圏」
首都メキシコ市の地下にある軍施設に、ライフルなどが棚の上に整然と並ぶ。麻薬組織との「戦争」で押収
した武器の数々。ライフル製造で有名な米バレット社が開発した大型セミオート式狙撃銃「バレットM99」な
ども見える。ヘリコプターや装甲車などにも損傷を与えられるように開発されたもので、命中精度の高さで知
られる。
バレットライフルは、1982年に開発され湾岸戦争で多国籍軍が使用したM82が原型。その後に改良され、
イラク戦争でも米軍によって使用された。こうした武器が、麻薬組織から次々と押収される。旧ソ連で開発さ
れ共産圏の主力自動小銃だった「AKー47」もあり、麻薬カルテルの全世界に及ぶ広域な“商圏”が浮かび
上がる。これらは正規軍施設に保管され、廃棄を待っているのだ。
メキシコでは麻薬組織が軍や警察などを襲撃する事件が後を絶たない。不透明感を増す全面戦争の先行き
だが、その大きな要因に、麻薬カルテルの「力」を結果として下支えしてきた米国の存在がある。
米国はメキシコ経由の麻薬の最大消費地。メキシコのカルデロン政権はこれまで、「武器の大半が米国から
の密輸品だ」と不満を示していた。米国のジョージ・ブッシュ前政権は、米国内の銃規制の議論も絡み、この
問題に消極的だったとされる。
バラク・オバマ大統領(47)はこの4月、メキシコを初めて訪問。2006年以降、カルデロン政権が麻薬組織か
ら押収したライフルなどの武器は約3万5000点にのぼり、この9割が米国製、あるいは米国経由の密輸品だ
ったことを渋々認めた。その上で、メキシコの麻薬組織掃討作戦を全面支援する方針を表明した。
首脳会談後に公表された米ホワイトハウスの声明によれば、犯罪にかかわる銃器情報のデータベース化を進
めてメキシコと共同運用することや、武器移転の規制強化、マネーロンダリングの監視強化などを図るという。
「麻薬戦争」は、カルデロン大統領が06年の就任以来取り組む最重要課題。AP通信によれば、一時は死者数
が減少するなどの成果が上がったかに見られたが、麻薬組織が正規軍並みに重武装化し、対決の構図はます
ます先鋭化している。米国の支持を背景に事態は前進するのか注目されるが、長期戦は避けられないとの見方
が支配的のようだ。
▽関連スレ
【メキシコ】 WANTED$100万 麻薬カルテルの大物賞金首を逮捕[5/23]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1243081322/l50 【メキシコ】 麻薬カルテルの最高幹部を逮捕、最大組織の1つ[5/21]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1242907988/l50 【メキシコ】 警官装った武装集団が刑務所に侵入、53名を脱走させる [05/17]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1242545372/l50 【メキシコ】 “麻薬戦争”続くメキシコ 押収武器は軍隊並み…[5/7]
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1241708018/