【日比】カルデロンさん一家に9日までの「退去通告」… 父「悔しい」 弁護士「日本は国連の意見を聞け」[2/27]

このエントリーをはてなブックマークに追加
1たんぽぽ乗せ名人φ ★
強制退去処分を受け、家族そろっての特別在留許可が認められない方針を伝えられていた
日本生まれのフィリピン人カルデロン・のり子さん(13)=埼玉県蕨市立第一中一年=一家の問題で、
東京入国管理局は二十七日、父アランさん(36)と母サラさん(38)に、
一家で帰国するか、のり子さんだけが日本に残るのかを三月九日までに決めなければ、
三人を入管施設に収容して、強制送還すると伝えた。

一家をめぐっては、国連人権理事会が日本政府に報告を求めている。

友人たちが集めた嘆願署名は約一万九千七百人分。
入管の「最後通告」は、のり子さんが生まれ育った日本を離れるか、家族が離散するか−の過酷な選択を迫っている。

正規の在留資格がない場合、法務大臣の裁量で特別在留許可を認めることができる。
しかし、森英介法相はこの日の閣議後の会見で、「のり子さんだけなら在留許可を認めることは伝えた。
一家全員で在留を認めない方針は変わらない」とあらためて強調した。

一九九二年から九三年にかけて夫妻はそれぞれ他人名義の偽造旅券で入国。
二〇〇六年にサラさんの不法滞在が発覚し逮捕された後、一家は仮放免を申請。
退去取り消し処分を求める訴訟も起こしたが、昨年九月に最高裁で退去処分が確定。
その後、身柄収容を一時停止する仮放免の延長が繰り返されたが、入管は今月十三日、
二週間以内に帰国日を決めるよう通知した。

◆父『悔しい』、母は涙
「悔しい」。
東京入管の通知を受けた直後、のり子さんの父アランさんは唇をかみ、母のサラさんは下を向いたままだった。

二十七日午前、冷たい雨が降る中、アランさんとサラさんは東京都港区の東京入管に出頭した。
「娘はまだ十三歳の中一なので、自分のことも守ることはできない」と伝えたが、入管側の回答は変わらなかったという。

東京・霞が関の司法記者クラブで会見したアランさんは「娘の将来のために
勉強のために三人で残りたい気持ちは変わらない」と顔を紅潮させ、
サラさんはハンカチで目元を押さえ、質問に答えられなかった。

一家に付き添った渡辺彰悟弁護士によると、国連人権理事会の「教育の権利」特別報告者らは今月十九日付で、
一家の保護や教育の問題についての質問票を日本政府に送付したという。
政府は一、二カ月の間に回答する必要があるが、
渡辺弁護士は「帰国日を区切らずに、日本政府は国際機関の声を尊重しながら対応していくべきだ」と訴えた。

◆明確な基準が必要
外国人問題に詳しい田中宏龍谷大教授の話不法滞在の状態が十五年以上続いたことを罪が重いととらえるか、
逆に、十五年以上も生活実態があるからそれを尊重すべきとみるかで、この問題の解釈が分かれる。
私は後者の立場をとりたい。

不法滞在であっても長期にわたり日本に滞在し、子どもが日本で生まれ育った一家に対し、
強制退去処分を出す場合の明確な基準づくりが求められよう。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009022702000217.html