■ 逃すな 眠れる巨大油田 イラク権益 新日石など熱視線
イラクが約36年ぶりに外資企業に開放する油田開発事業に、日本の資源開発各社が熱い
視線を送っている。世界3位の原油埋蔵量を擁し、未開拓油田が7割近く残るイラクで開発
権益を獲得すれば、将来の原油生産量の拡大につなげられるからだ。ただ、イラクに関心
を寄せる各国石油会社との権益獲得競争が激しくなるのは必至。設備の老朽化や不安定
な政治・治安情勢も加わって、事業の先行きには不透明感も漂う。
<< 足場づくり本格始動 >>
今月5〜7日。2003年のイラク戦争開戦後、首都バグダッドで初めてとなる石油ガス関係の
見本市が開かれ、新日本石油や国際石油開発帝石など日本から石油関連の5社が出展、
日本人社員も参加した。開戦後、日本企業がイラク入りするのは初めてで、外資企業への
油田開放をにらんだ足場づくりが本格始動したといえる。
イラクが開放を予定しているのは日量生産100万バレルのルメイラ、30万バレルの
キルクークとウエストクルナなど6つの油田と2つのガス田。
今年10月の事前審査で外資35社に入札資格が絞り込まれており、英蘭シェルなどの欧米
系石油会社に加え、新日石と国際石油開発帝石、石油資源開発、三菱商事の日本勢4社
が入札資格を獲得した。
イラク政府は、来年3月の入札を経て、落札企業と同年5月までに開発契約を結ぶ考え。
日本勢4社はそれぞれ、国内外3〜4社と連携して、油田開発権益の獲得を目指すという。
イラクの原油確認埋蔵量は、1150億バレルでサウジアラビア、イランに次ぐ世界3位の潜
在力をもつ。1972年に石油産業を国有化したが、91年の湾岸戦争とその後の経済制裁、
イラク戦争を経て生産が低迷している。
このため外資企業に油田開発事業への門戸を開放し、老朽化が進む油田の改修を進め、
原油の増産体制を整備。13年には原油生産能力を現状の250万バレルから8割増の460
万バレルに引き上げる計画だ。イラクは今回の入札に続き、日量10万バレル以下の中規
模油田を第2次入札で開放、さらなる増産体制を構築する考えだ。
今後の世界のエネルギー情勢を考えると、中国やインドなど新興国だけでなく途上国でも
需要が増えるのは確実。その一方で、主要産油国には外資の進出を制限する資源ナショ
ナリズムの高まりで供給の伸び悩みが予想される。新たな供給源の獲得を模索する欧米
メジャーや日本の資源開発会社にとって、潜在力を持ちながら開放路線を進めるイラクは
魅力的だ。
それだけに、「油田開発に携わる会社の人間としてぜひとも参加したい国」と石油資源開発
の鈴木勝王副社長は言い切る。
<< 安定調達に欠かせず >>
09年10月に新日鉱ホールディングスと経営統合する新日石は、両社合算した自社開発原
油量を現状の日量16万5000バレルから10年以降には25万〜30万バレルに引き上げる計
画を掲げており、今後の生産拡大にはイラクでの権益獲得は必須条件といえる。
資源に乏しい日本としても、将来の原油の安定調達に向け戦略的に欠かせない国だ。
経済産業省が06年にまとめた「新・国家エネルギー戦略」で、日本企業が権益を持つ油田
から生産される原油比率を将来、現状の15%から40%まで引き上げることを掲げた。この目
標達成にはイラク事業への参画が必要で、油田開発熱が高まるのは間違いない。一方で、
エネルギーの安全保障の強化の観点から、国の後押しも欠かせない。
(一旦切ります、続きは
>>2くらい)
* Fuji Sankei Business-i (2008/12/11-**:**)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200812110027a.nwc * 依頼頂きました
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1224133244/501 (
>>1から)
◆ サウジ級埋蔵量 課題は政情不安
イラクは、世界の資源開発会社にとって“宝の山"に映る。というのも、イラクの地下には巨
大油田が数多く眠っている可能性があるからだ。
イラクには、原油や天然ガスが埋蔵するとみられる地質構造が526存在する。すでに125で
試掘したが、原油やガスの存在が確認されたのは90に達し、発見率は75%にのぼる。また
原油が発見された構造のうち、埋蔵量50億バレルの「超巨大油田」が5油田、5億バレルの
「巨大油田」が30油田以上も発見された。世界を見渡しても5億バレル以上の埋蔵量の油
田を発見する確率は0.3%、1億バレル以上も3%といわれており、イラクの油田発見確率は
非常に高い。
石油資源開発の鈴木勝王副社長は「4分の3は未試掘の油田で、相当大きな埋蔵量が期待
できる」と話す。実際、西部や南部の砂漠地帯に数千億バレルが埋蔵されているとの試算も
ある。外資企業への油田開放で未開拓油田の開発が次々と進めば、原油埋蔵量は世界首
位のサウジアラビアに匹敵する可能性もある。
ただ、イラク事業をめぐっては課題も山積。2003年のイラク戦争後、テロのリスクは依然とし
て残り、各国の石油会社も社員を派遣できない状況が続いているからだ。テロなどのリスク
が伴う中では、油田やガス田を開発しても事業を円滑に進めることは難しい。油田の利権を
めぐる民族間の争いも絶えない。
イラクの今後の開発動向は、足元で1バレル=40ドル前後まで急落した原油先物価格にも影
響を与える可能性がある。IEA(国際エネルギー機関)は、油田の老朽化などで原油価格は
30年に200ドルを超えると予測。今後、新興国の需要拡大に見合う供給量を確保するには
「今、原油開発を進めないと大変なことになる」(石油連盟の天坊昭彦会長)。それだけに産油
国の中でも最大の潜在性を持つイラクの開発動向が、将来の原油価格も左右しかねない。
(今井裕治)
(記事ココまで)