温暖化対策 COP14でも重要議題 日本提案「セクター別」に注目
2008/11/28
温室効果ガスの効率的な排出削減を目指し、日本が各国に活用を呼びかけているセクター別アプローチが、
ポーランドで開催中の、主要21カ国の産業大臣や企業代表者らが集まった国際会議でも、主要議題になった。
日本が提案した手法が本格的に国際社会に認知されてきた。
来月開催の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP14)でも、同手法の重要性が指摘される見通しだ。
27日に開幕した会合には、米中韓や英国、フランス、インド、ブラジル、南アなど21の
温室効果ガス主要排出国の産業相、鉄、セメント、アルミ、電力の4業界が参加。
日本からも谷合正明経産政務官ら、政府関係者に加え、新日本製鉄や東京電力なども加わり、
セクター別アプローチを経済成長につなげる可能性などを議論する。
この手法では、業界ごとに工場の設備状況などを詳細に把握し、各国の排出削減可能量を分析する。
削減余地の大きい工場に省エネ技術などを移転することで、大幅な削減を目指す。
日米中韓とインド、オーストラリアの6カ国の鉄鋼業界で、最先端の設備を導入すれば、
6カ国の鉄鋼業が排出する二酸化炭素(CO2)約20億トンのうち、6%に当たる
1.3億トンの排出削減が可能と分析している。
会議では谷合政務官がこれらの成果を紹介するほか、発電部門でも多大な削減可能量があることを指摘し、
セクター別アプローチの有用性を訴える。
京都議定書では、このような科学的分析は行われず、「先進国全体で5%以上削減する」という目標のもと、
EU8%削減、米国7%削減の並びで、1990年度比6%削減という日本の目標が決まった。
この結果、以前から省エネを推進してきた日本は、海外から排出枠を大量に購入して
削減目標を達成させる事態に追い込まれた。
財団法人・地球環境産業技術研究機構(RITE)が、セクター別アプローチを使って分析した
世界の削減可能量では、1トンのCO2削減に25ドル使った場合、世界全体で214億トンの削減が可能とした。
最大の中国は、世界全体の3割近く、米国は2割近い。
日本は3%程度でしかなく、この手法が活用されれば、ポスト京都の枠組みがより公平になる期待がもてる。
欧州連合は現在、2020年の長期目標として、1990年比20%以上の削減を打ち出しているが、
厳しい排出削減を求められることに、欧州産業界の反発は強い。
セクター別アプローチという「当初は全く認知されていなかった」(経産省幹部)手法が、
国際会議の場で主要テーマに取り上げられるのもこのためで、
12月1日からポーランドで開かれるCOP14でもセクター別アプローチが重要なテーマの1つとなる。
FujiSankei Business i
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200811280098a.nwc 世界のCO2削減可能量
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200811280098a2.jpg