クリントン前大統領、ヒラリー国務長官誕生の妨げに?
ワシントン(CNN)
バラク・オバマ米次期大統領政権の国務長官にヒラリー・クリントン上院議員を
推す動きが出ているが、夫のビル・クリントン前大統領の人脈や失言癖が
その妨げになりかねないと、複数の関係者が指摘している。
ビル氏が世界の指導者との関係を確立していることで、ヒラリー氏が各国に
受け入れられやすい側面はあるが、一方で利害の対立を招きかねない側面もある。
特に問題なのは、ビル氏の財団に寄付を寄せている政府や人物と、オバマ新政権の
政策が衝突する可能性があることだ。
ビル氏は8年前に大統領の任期を終えた後、自分の財団のために5億ドル以上を
集めたとされる。その多くは図書館の建設に充てたほか、アフリカなどのエイズ
対策関連の慈善事業にも多額を寄付した。
オバマ氏側は既にヒラリー氏に国務長官のポストを打診し、ヒラリー氏は数日中にも
返答する見通し。しかしオバマ氏の政権移行チーム関係者2人がCNNに語ったところでは、
ビル氏の財団の財政事情や任期後の活動について情報提出を求め、ヒラリー氏を国務長官に
就任させる上で支障がないかどうか調査中だという。
ビル氏は財団に寄付を寄せた相手を公表していないが、米ニューヨークタイムズ紙の
報道によれば、寄付者にはサウジ国王一家、モロッコ国王、アラブ首長国連邦の関連
ファンド、クウェート政府、カタール政府など、海外の政府や要人が名を連ねている。
さらに、カザフスタンや中国など、ヒラリー氏が人権問題を声高に批判している国の
政府とつながりのある実業家などからも寄付を集めているとされる。
ヒラリー氏が国務長官になった場合、外交で対峙する相手国が夫のビル氏に多額の
寄付をしていれば、複雑な事態を招きかねない。
また、ビル氏は世界各地で活発な講演活動も行っているが、ヒラリー氏が国務長官になった
場合、その発言との矛盾を避けるため、オバマ政権側はビル氏に講演を控えるよう要請する
見通し。だが注目を浴びるのが好きなビル氏が身を引きたがらない可能性もある。
さらに問題になりそうなのが、講演の最中に話がそれてしまったり、政治的影響を考えない
まま思わず心情を吐露してしまいがちなビル氏の傾向。今回の大統領選挙に向けた運動期間中も、
ヒラリー氏が夫の発言を批判しなければならない場面が何度かあり、公衆の面前で夫に発言の
中止を求めたこともあった。
クリントン大統領時代の顧問を務めた経験もある政治アナリストのデビッド・ガーゲン氏は
「ヒラリー氏は夫とよく話し合って、どうしてもらいたいのか決める必要がある」と指摘。
ヒラリー氏が国務長官に就任した場合、夫の発言をチェックする責任も負うことになりそうだ。
2008.11.18 Web posted at: 15:31 JST Updated - CNN
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200811180017.html