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>>1から)
【選ばれし者】
モスクワの富裕層は、金融危機を現実に感じている。ブルームバーグによると、5月25日以来、
ロシアのビリオネア(十億万長者)らは、株価の暴落で、 620億ドルの資産を失った。(ユダヤ系
ロシア人の実業家で石油王の)ロマン・アブラモビッチ氏も、個人的に200億ドルの資産を失った
と報道されている。5月以降、MICEX(モスクワ銀行間外貨取引市場)指数が62%下落する中で、
合計で740億ドルの外国資産がロシアから流出した。
ロシアの大物実業家らは、クレムリンと親交が厚い。また、クレムリンの高官ら自身も、隠れ
ビリオネアとうわさされている。しかも、世界の汚職のランキングでは、ロシアは、屈辱的な147
位に置かれている。どのようなプロジェクトも、政府当局者に袖の下を渡さないと、なにも進行
しないのである。そして、平均的な袖の下の金額は、プロジェクトの総額の30%にもなっていると
推定されている。
金融危機に対するロシア政府による最初の支援も、2つの銀行に限定されて実施されたが、
これらの銀行は、複数の閣僚や、大統領府に関係する実業家によって保有されていると報じら
れている。これらは、KITファイナンス(クドリン財務相の庇護の下にあるとされる)と、Svyaz銀行
(ロイズマン前通信相の事業帝国の一部となっている)である。
これらの銀行は、金融危機で最大の打撃を受けたわけではないものの、これらは、この混乱し
た環境の中で、最初の政府の支援を得ることができたのである。
【資金洗浄】
アイスランドの複数の銀行に対する融資計画も、大規模な救済計画の一部とみなされている。
一部のアイスランドの銀行、たとえば最近国営化された最大手のカウプシング銀行は、ロシア
の実業家らや、政府の高官らによって、資金洗浄のために使用されていたとする証拠もある。
一例では、ビリオネアのアリシェル・ウスマノフ氏は、カウプシング銀行に口座を持つ複数の系
列企業を通じて、複数のロシア企業の株式を隠密で大量買収する方法で、ロシアの税務当局
の目を逃れたとされている。そして同氏は、経営の悪化したカウプシング銀行が国営化される
直前に、自己の資金をすべて退避させたとも報じられている。
モスクワで発行されている日刊紙「独立新聞」は、アイスランドに対する金融援助の真の目的
は、ロシアの高官らの資金を、複数のアイスランドの銀行から素早く退避させることを支援する
ためだと推測している。同紙は、この援助の金額から推測して、これが、単なる政治的な宣伝
行為であるはずがない、と指摘している。(ルスエナジー ミハイル・クルーティヒン)
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