米大統領選:市民団体の虚偽登録問題で波紋 FBI捜査
米大統領選への投票のため、事前に必要な有権者登録などを支援する全米最大規模の
市民団体「エイコーン」の虚偽登録問題が波紋を広げている。米連邦捜査局(FBI)
は詐欺などの疑いで捜査を開始し、人権団体は共和党に配慮した「政治的な捜査だ」
と反発。エイコーンのスタッフの8割は黒人や中南米系で、事務所には人種差別的な
脅迫電話やメールが殺到している。
米メディアによると、北東部ロードアイランド州の事務所では女性(非白人)
スタッフが電話で、人種差別的な言葉で脅された。
エイコーンは貧困、低所得層の生活向上を目指し70年に設立された。40州に
支部があり、選挙では未登録の有権者に登録を勧め、本人が記入した用紙を役所に
提出している。
国勢調査によると、白人の有権者登録率は7割、黒人は6割、中南米系は5割強に
とどまる。米国では「個人の問題」とされ、行政機関は積極的には登録を呼びかけ
ていない。
エイコーンは今回の選挙でこれまでに21州で130万人の新規登録を支援した。
だが、有権者名に「ミッキー・マウス」と書かれた用紙が見つかるなど、
オハイオ州や西部ネバダ州など12州で虚偽記載が発覚した。
民主党大統領候補のバラク・オバマ上院議員(47)は以前、エイコーンの幹部の
教育に携わったことがあり、同団体の政治部門はオバマ氏を支持している。共和党の
大統領候補、ジョン・マケイン上院議員(72)は15日のテレビ討論会で
「エイコーンとの関係を説明すべきだ」と追及。AP通信は16日、エイコーン
が不正に組織的に関与した疑いもあるとしてFBIが捜査を始めたと報じた。
エイコーンは「ウソと分かる登録票でも勝手に廃棄できない。問題点は提出時に
役所に伝えている」と釈明。有権者登録問題に詳しいフロリダ大のダニエル・スミス
准教授は「アルバイトがさぼるために架空の人物を書いているようだ。実在しない
以上、不正投票につながるとは思えない」と話している。
http://mainichi.jp/select/world/news/20081020k0000m030043000c.html