10 :
七つの海の名無しさん:
おもしろい記事だったので翻訳しました。
よろしければスレ立てお願いします。
(見出し)
EU首脳会議 自分の主義主張を押し通しつづける困った大統領
(本文)
カチンスキ大統領をブリュッセル行きの政府専用機に乗せなかったトゥスク首相は、評価を高めたのか、
それとも自身のイメージを損ねたのだろうか?ブリュッセル行きを強行し、首脳会議参加への
言質をサルコジ議長から引き出したカチンスキ大統領は?次の大統領選挙に勝つチャンスを高めたのは
どちらだろうか?どちらの支持者が増えただろうか?
マスメディアに群棲するいわゆる政治評論家もこれと同じ疑問を抱いている。こういった評論家は
続々とメディアに現れては、人々を自分の思ったとおりに洗脳しようとするのだ。
飛行機を巡っての揉めごとや、ブリュッセルで誰がポーランドを代表するのかという揉めごとは、
単なる権力の問題ではない。つまり単に誰が今回のEU首脳会議での代表を任されているのか
ということではないのだ。誰が任されているのかという疑問はすでに解決している。それは
大統領でなく閣僚だ。いくら大統領が「主導権」を握ろうとも(ところで、ここで主導権を握ったとして
大統領はいったい何を得るというのか?)、憲法に関する激論が何度行われようとも、である。
大統領と首相との間では今のところまだ挑発、策略、侮辱といった安っぽい直接応酬はなく、
それを見た多くの人々は「大統領と首相はまだ互いを必要としている」と思っているようであるが、
それは全く浅薄な見方だ。今回の飛行機騒動は単にこれだけに留まらないもっと重要な問題の
一部なのだ‐つまりはポーランドの将来である。
(続く)
11 :
七つの海の名無しさん:2008/10/17(金) 12:31:38 ID:FIS7fp69
(続き)
大統領は内閣に協力しなければならないと憲法に明記されているのに、これまでカチンスキ大統領が
内閣に協力したことは一度もない。大統領は大統領官邸を自らの所属する政党「法と正義」の砦にしまい、
そこから与党「市民プラットフォーム」の構成する内閣に向けて絶えず砲撃を加えている。大統領の
双子の兄であり「法と正義」党の党首であるカチンスキ氏は「これは休戦など行われないパルチザン戦争だ」
と言っている。ポーランドがどうなろうとまるでお構いなしだ。
これまでもずっと大統領は、内閣の業務に対してサボタージュを続ける一方、外交政策を巡って
首相を非難し続けている。しかしポーランドの外交を紛争の場に変えてしまったのは大統領自身に
他ならない。法でいくつか許されている大統領権限を行使して内閣と対立することは大統領にとって
心地良いことなのだろう。ブリュッセルのEU首脳会合でロシアのグルジア侵攻が討議されたときは
大統領はうまく立ち回り得点を稼いだことは認めよう。しかし他のことに関しては、大統領は
ただ騒ぎを煽っただけだ。
大統領は、ポーランドの東方政策を担当する外務省の官僚をロシアのスパイだと言い立てたことが
ある。これらの官僚にモスクワの大学の卒業生が多いからだ。しかし「法と正義」が与党だったときも
この官僚たちは外務省にいたわけで、その当時は問題無かったのか?大統領はどこの大学で
何を勉強したのか?戦前の大学か?自らの修士論文にレーニンの言葉を加えたのが一体どこの
誰だったのか、大統領は忘れているのだろうか?
大統領は今回のEU首脳会議に無理やり出席したが、一方では国会が批准したリスボン条約への
署名を拒否している。それどころか署名を巡ってはフランスと取引をしようとしたわけであるが、
一体何のために?実はこの署名を取引の材料にEU首脳会議の会合の場での自らの席を確保しようと
したのだが、一体何のためにそんなことをやっているのか、国民はさっぱりわからない。
(続き)
12 :
七つの海の名無しさん:2008/10/17(金) 12:32:22 ID:FIS7fp69
今回のEU首脳会議の重要な議題である気候変動対策に関して、大統領は前々からまずい振る舞いを
している。エネルギー源を石炭に依存するポーランドがCO2排出権を購入することになると、
そのコストが電気料金として生活者に重くのしかかってくる事実を大統領は知らないのだろうか?フランスが
問題を抱えていないのはエネルギー源を原発に依存しているため、という事実を大統領は知らないのだろうか?
今回の首脳会議の二番目の議題である世界的な金融危機問題に関して、大統領の意見はどうだ?次々と
新しい委員会やら大統領会議やらを設けるほかに、いったい具体的なことは何か考えているのだろうか?
国有企業の経営陣の報酬に上限を設ける法案は、報酬目的で閑職を求める人材でなく「仕事をする」幹部を
集めるために作られたものだが、「法と正義党」の「鉄拳」であるカチンスキ大統領はこの法案に
拒否権を行使した。大統領は、ラジオやテレビといった公共のメディアから「法と正義」の
独裁的影響を排除するために作られた法案に対しても拒否権を行使した。
もう一つ、ポーランドの将来にとって欠かすことのできない法案がある。それは早期退職に
関する法案だ。早期退職資格の制限を厳しくすることで、早期退職の該当者を大幅に減らす法案で
ある。この法案にも大統領は拒否権を行使している。内閣は医学的基準によって早期退職資格を
決めようとしているが、大統領のほうは有権者の人気取りしか頭にないようだ。
ポーランドの定年は、ヨーロッパ諸国のうちでもっとも早い。大統領は定年退職の近い人たちが
みんな自分に投票してくれることを望んでいるのだろうか?
(続く)
13 :
七つの海の名無しさん:2008/10/17(金) 12:33:00 ID:FIS7fp69
(続き)
大統領は医療制度改革にも反対である。医療制度改革はどの国でも難しい問題であるが、ポーランドでは
いま、大統領のおかげでこれが特に難しい問題になっている。公立病院の民営化を制度化するかどうかについては、
大統領はこれを国民投票にかけることを主張している。大統領は、公立病院の民営化制度が整備されることが
何か恐ろしいことであるかのように言いふらしているが、こういう脅しは「法と正義」党が前回の総選挙で
使った常套手段だ。この状況は皮肉以外の何物でもない。なぜなら「法と正義」党が与党だった時代の
内閣の怠惰のせいで、病院の無秩序な民営化はすでにこれまでもずっと行われていたからだ。法整備が
遅々として進まないのに業を煮やした地方自治体が、地元の公立病院を次々と民営化しているのだ。
大統領は、6歳の児童が学校へ通うことに反対を表明している(訳者注:ポーランドの義務教育は7歳から)。
大統領は「法と正義」が与党だったときには6歳児の就学に賛成だった。今は親たちによる反逆を
主導しようとしている。EUの基準や、労働市場で人が減っているポーランドの状況など考えたことも
ないようだ。教育制度改革は人口が減っている今こそ行わなければならないのに、そんなことは意に介しない。
「法と正義」党と大統領はポーランドの将来のことなど考えていない。彼らの頭の中には選挙のことしかないのだ。
トゥスク首相はついに大統領にこう言い放った。「もうたくさんだ!」
よくぞ言ってくれました!
元記事:Gazeta Wyborcza紙(ポーランドの一流紙だそうです)
He Will Stop at Nothing to Advance His Own Cause
http://wyborcza.pl/1,76842,5816664,He_Will_Stop_at_Nothing_to_Advance_His_Own_Cause.html (以上です)
14 :
七つの海の名無しさん:2008/10/17(金) 12:57:33 ID:FIS7fp69