(10月9日AP)ヨーロッパ人権裁判所は9日、第二次世界大戦の終戦前後に現在のポーランド領から追放
されたドイツ人によるポーランドへの財産の返還と賠償の請求を却下した。この判決はドイツ、ポーラン
ド両国の首脳に歓迎された。
少数の被追放ドイツ人で構成される「プロイセン信託公社(Prussian Claims Society)」は2006年、
喪失した財産の返還・賠償を求めてヨーロッパ人権裁判所に訴えを起こしていた。
プロイセン信託公社は、ドイツ・ポーランド国境線は1945年に引かれたものであるとし、それ以前にド
イツ領だった土地から追放されたドイツ人の財産権が侵害されているとしてポーランドを非難していた。
フランスのストラスブールに置かれているヨーロッパ人権裁判所は、ポーランドとドイツがヨーロッパ
権協約を批准したのは第二次世界大戦の後であり、当裁判所は今回の請求を審査する立場にないとの判
決を下した。
これはポーランドが、「今回の原告が没収された財産の回復や返還や、喪失した財産に対する損害賠償
を法的に行う」義務がないことを意味する。
ドイツ連邦政府はこれまでドイツ人がポーランドへこういった請求を行うことを拒絶してきたが、同様
の話が持ち上がるたびに隣国ポーランドで国民の怒りを引き起こし、このことがドイツ・ポーランド関
係発展の上での障害となっていた。
ナチス・ドイツは第二次世界大戦のはじめの1939年にポーランドを侵略し、残酷な占領を行った。その
結果、300万人のユダヤ人を含む600万人のポーランド人が命を落とした。
プロイセン信託公社は、ナチス・ドイツがポーランドに対して多大な苦痛を与えた事実は認めるものの、
ヒトラーの犯罪によってドイツ人個人を処罰するのは不当であると主張していた。
ポーランド、チェコ、スロヴァキアなどからは強制移住させられたドイツ人は数百万人にのぼる。
(訳者注:より正確には1400万人程度と言われる)
8日の判決は、同日ベルリンで行われたドイツ首相アンゲラ・メルケルとポーランド首相ドナルド・トゥ
スクによるドイツ・ポーランド首脳会談の開始数時間前に下された。
ポーランドのトゥスク首相はこの判決を歓迎し、記者団に対して、「ポーランドとドイツ双方にとって有
益な結果です。この問題は最終的に解決したのです。」とコメントした。
ドイツのメルケル首相は、「プロイセン信託公社の訴えには何の正当性もないとしていたドイツ政府の立
場がついに正しいと認められました。」と述べた。
◆原文ソース(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン):
Court rejects Germans' property restitution claims
http://www.iht.com/articles/ap/2008/10/09/europe/EU-Germany-Poland.php ◆訳と依頼
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1218849581/388