フランス人監督が作ったヤクザ映画の秘密が上映!証言者が明かす修羅場
国際映画祭で、日本における戦後のヤクザ映画の歴史を関係者の赤裸々な証言によって
構成したドキュメンタリー『Yakuza Eiga 日本映画に秘められた物語』が招待上映され、
フランスのイブ・モンメイヨール監督がインタビューに応じた。
同作品は、『仁義なき戦い』の登場以降、いかにヤクザ映画が日本で隆盛を極め、92年の
暴力団対策法施行を契機に衰退していったのかを、75分間にコンパクトにまとめたもの。
しかし証言者は、東映京都撮影所・元所長の高岩淡氏、『仁義なき戦い』シリーズの日下部五朗氏、
ヤクザの家系に生まれた作家・宮崎学氏、現役組長、北野武監督、三池崇史監督など、そうそうたる
面々が出演。2000年のロッテルダム映画祭で録られた深作欣二監督の貴重なインタビューや、元
武闘派ヤクザ出身の異色俳優・安藤昇が、64年に行った「安藤組解散式」のニュース映像も登場する。
モンメイヨール監督は本作を製作したきっかけについて「私はこれまで、テレビディレクターとして
村上龍氏、アラーキー(写真家の荒木経惟氏)、三池監督らのドキュメンタリーを製作し、彼らを
通して日本文化に触れて来ました。その過程で東映という一つの映画会社がヤクザ映画を量産していた
ことを知りました。さっそく、ネットでDVDを取り寄せ、フランス字幕なしでいろいろ調べていたら
ハマってしまって(笑)。特に『仁義なき戦い』にはエキサイティングしましたね。あの映画は
小津映画に代表されるような日本映画の流れを一気に変えたのではないでしょうか? その深作欣二
監督へのオマージュの意味も込めてこのドキュメンタリーを作りたいと思いました」
仏人監督が取材に来たということで、心を許したのか? 先に挙げた証言者から、衝撃の話がポンポン
飛び出す。高岩氏が「指名手配中のヤクザが刺青大会のシーンに参加し、その映画がきっかけで警察に
捕まった」と製作裏話を明かし、日下部氏は「何度も組事務所に拉致されたこともありますよ」と、
いかに真に迫る作品を作っていたかの体験談を語り、安藤氏は武闘派時代の修羅場をさらりと打ち明ける。
「取材スタッフも彼らの話を聞きながら、あまりのスゴさに笑ってしまいました。対して相手は、
仏人の私が義理とか人情という言葉を口にするので驚いてましたよ。本物の組長に取材をして怖く
なかったか? そりゃ私だって、フランスのマフィアに取材するのは怖いかも(苦笑)。でも今回、
実は取材に協力的だったのは本物のヤクザの方だったんです。取材に応じて頂けない俳優もいたのが
残念でした」
同作品は、10月8日から13日まで開催される「第6回京都映画祭」で特別上映が決定。日本公開に
ついては関係者の多くが「フランスのテレビ局の取材だから」と引き受けていることもあり、困難と
見られる。日本人で唯一観賞出来る貴重な機会となりそうだ。
2008年09月29日18時30分 / 提供:シネマトゥデイ
http://news.livedoor.com/article/detail/3838090/