【クアラルンプール】 12日、反政府的内容のブログをネット掲載し続けていた「マレーシア・トゥデー」
のラジャ・ペトラ・カマルディン編集長が国内治安維持法(ISA)の適用を受け逮捕されたのに続き、
野党・民主行動党(DAP)所属のセランゴール州議会議員、テレサ・コック議員(43)と「星洲日報」の
タン・フーンチェン記者(32)も同法適用によって逮捕された。タン記者は翌13日に釈放されたが、ラ
ジャ・ペトラ編集長とコック議員は15日午後の時点で逮捕されたままで、野党や人権団体、メディア
団体のみならず政府内からも批判の声が上がっている。
コック議員の逮捕は、コタ・ダマンサラ、スリ・セルダン、プチョン・ジャヤの3カ所のモスクにおける
アザーン(礼拝を呼びかけるアナウンス)の音量を下げるよう求める住民訴訟に関わっていたため
とみられ、これが民族対立を助長していると判断されたものとみられる。
タン記者は、与党第一党・統一マレー国民組織(UMNO)ペナン州ブキ・ベンデラ地区のアハマド・
イスマイル区長が「華人は間借り人」発言を行った件に関する報道に携わった経緯があり、アハマ
ド氏への批判的記事がUMNOと華人政党の対立を煽る結果になったためとみられる。
同記者釈放後の記者会見でサイド・ハミド内務相は警察が政府の指示に因らず独自の判断でISA
を適用したと説明。タン記者の逮捕については「身の危険が及ぶ可能性があったため保護した」と
苦しい弁明を行った。
■ISA適用に批判の声高まる■
警察が3人をISAを適用して逮捕したことについては、全国ジャーナリスト組合(NUJ)やトランスペア
レンシー・マレーシア(TI)、弁護士会、人権委員会(Suhakam)などが言論の自由の侵害、人権無視
などとして一斉に非難の声を上げた。
特にタン記者の逮捕の理由については「ISAの乱用」といった批判が殺到しており、野党のみならず
与党連合・国民戦線(BN)構成党のマレーシア華人協会(MCA)やマレーシア・インド人会議(MIC)、
人民運動党(ゲラカン)からも批判が噴出。ドムポック首相府相、オン・ティーキアット運輸相、シャハ
リル・サマド国取相、ライス・ヤティム外相、S.スブラマニアム人的資源相、リオウ・ティオンライ保健
相らの閣僚が批判をおこなっている。法務担当のザイド・イブラヒム首相府相は特に舌鋒激しく批判
しており、15日アブドラ首相に辞表を提出した。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、ベルナマ通信、9月13一15日)
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