タイ首相府前で座り込みを続ける反タクシン元首相派団体『民主主義のための市民同盟 (PAD)』が国会議員の7割を任命制、3割を公選制にする『新しい政治』案を提案した。伝統エリート層に国政を委ね、民主主義を事実上否定するもので、物議をかもしている。
過去数年のタイ政治の混乱は地方住民や貧困層の支持を受けるタクシン元首相が選挙で勝ち、タクシン氏を拒否する伝統エリート層が PAD の街頭デモやクーデターでタクシン派に対抗するという構図。
PAD は伝統エリート層の実働部隊とみられ、今回の提案は出るべくして出たとみられている。
タイの上院は長く任命制が続いたが、国民参加型で作られた1997年憲法で全議席が公選制となった。
しかし2006年のクーデターでタクシン政権を追放した軍部は昨年、上院の150議席中74議席を任命制とする新憲法を導入。最高裁長官や選挙委員会委員長らが上院議員を選出するシステムを構築し、伝統エリート層の復権を図った。
PAD の提案についてブンサーン・タイ国軍最高司令官は「下院議員の3割が選挙で選ばれるということは30%の民主主義ということだ」としたものの、「問題解決のひとつの方法」と述べた。
※民主主義のための市民同盟 (PAD)
PAD はタイ字経済紙大手プージャッカーン創業者のソンティ氏、多数の死者が出た1992年の民主化運動の指導者であるジャムロン元バンコク都知事 (退役陸軍少将) らが率いる団体。
2006年春に数万人規模の反タクシン政権街頭デモをバンコクで連続開催し、同年9月の軍事クーデターの伏線を敷いた。
ジャムロン氏はタクシン派が2006年クーデターの黒幕とみなすプレム枢密院議長と近く、ソンティ氏もクーデター派の軍高官と関係が深いことから、PAD はクーデターを起こした反タクシン派将官の『同盟相手』(タイの英字紙最大手バンコクポスト) という見方もある。
■ソース
民主同盟が非民主的提案
http://www.newsclip.be/news/2008704_019585.html ■関連スレ
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http://news24.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1204301848/