【IWC】ザトウクジラ生息数増加の調査結果、割当枠獲得目指すデンマーク領グリーンランド[06/25]

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11七つの海の名無しさん
>>9
>先日IWCが日本の調査結果をもとに、「南半球のザトウクジラが増えている」との報告を出したけど、
>それに対してオーストラリア政府は「日本の調査捕鯨のデータには科学的根拠が無い」って断言してた
>よな。日本側がその理由を尋ねると、「答える義務は無い」の一点張り。
>なのに、グリーンランドやノルウェーの調査結果に対してはダンマリなんだよな。

8にあるように、クジラはネズミ算式に増えるような無限オバケではないのに、
グリーンランドの自然研究所はネズミ算で頭数の推定をしている(科学委員会レポート参照)。

従って非科学的と見なされ、かなり甘い基準で認められるはずの原住民生存捕鯨枠で
ザトウクジラを獲ることは否決された。

科学委員会は5年ごと見直しの原住民生存捕鯨なら、グリーンランドでザトウクジラ年間
10頭は捕獲可能と算出したけれど、捕鯨を管理すべき研究機関の理論水準が明らかに低ければ、
IWC総会は政治的判断で否決できるという例だな。自然科学的に可能でも、社会制度に
疑問があれば実行不可、ということだ。これはありうるね。たとえば北朝鮮の原子炉とか。

ノルウェーは、少なくとも科学水準に関してはグリーンランド(やそれを十分に支援していない
デンマーク本国)よりはるかに高く、米国のアラスカ捕鯨研究やIWC枠外のカナダの
海洋生態系研究に匹敵している。
ノルウェーが小規模沿岸捕鯨で獲っているのは父子関係までDNAで十分に研究されたミンク
クジラだけで、系統群の混合が十分解明されていないザトウは獲ってない。

「日本の調査捕鯨のデータには科学的根拠が無い」に関しては、科学委員会で十分に批判が
出ているから、総会で繰り返す必要は無いねえ。別にオーストラリアが「答える義務は無い」
の一点張り、というわけではない。そればかりか、豪州政府の科学委員ニック・ゲイルズは
いろいろな機会に他国の水産官僚、研究者と連名で、日本の調査捕鯨に関して素人にも
わかりやすい論文を多数発表している。

興味深いのは日本鯨類研究所で、1999年の「勇魚」を見ると、鯨研を代表して大隅清治博士が
ミンクが増えすぎてシロナガスが増えられない、という趣旨の論考を発表しているんだけれど、
ここで「ネズミ算」が使われてるんだな。これにはノケゾルw

科学委員会で日本の「研究」を批評する言葉に困ってしまう原因だな(まさかダイレクトに幼稚
とは言えないからねえw)。
こういう「研究」をアンティグア・バブーダやサンキッツ・ネビスの代表が、すばらしい研究
だと褒め讃えるのもひじょーにイタイ。
12七つの海の名無しさん:2008/06/30(月) 14:44:28 ID:LsPfN2Ib
要領の得ない文章だな・・・
10行程度にまとめろよ。
13七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 04:38:51 ID:Q93/KUCm
>>12
>要領の得ない文章だな・・・
>10行程度にまとめろよ。

はあ、すんませんw
要旨は

1)クジラはネズミ算で増えるのじゃなく、自然のキャパシティー上限に
近づくと増加率が低減し、カオス的変動になる動物だから、ネズミ算で
資源評価をやるグリーンランド自然研究所や日本鯨類研究所所長大隅清治博士
の資源管理能力は国際捕鯨委員会ではまともに相手にされませんです。
2)たとえ「科学的」に客観的な資源管理の視点から捕獲枠設定が可能でも、
実際の捕獲当事者に資源管理能力が無ければ、捕獲の実行は認められないです。
3)日本の鯨類研究所とグリーンランドの自然研究所はこれに当たり、ノルウェーと
アイスランドの沿岸捕鯨はこれに当たらないか、IWCとして明確に禁止する法的枠組み
にはなっていないということです。

以上の2本柱です。1)がRMP(改訂管理方式)2)がRMS(改訂管理制度)のコア部分。

はい10行。
14七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 04:40:31 ID:Q93/KUCm
数学付録 I
ネズミ算:出発点のネズミクジラの数を No とし、自然的に可能な増加率を r
として t 年後に頭数 Nt がどうなっているかというとネズミ算方式では:

Nt = No x (1 + r)^t

ですね。大隅清治博士の1994年『勇魚』第10号「南極海のシロナガスクジラ資源はなぜ
回復しないのか」の例だと、「低資源水準のヒゲクジラ類の資源回復率を常識的に平均7%
とすれば、30年後に資源は7.6倍に増加する計算になり、それが4%としても3.2倍
になるはずである」の一般的数式表現です。

Nt = No x 1.07 ^30 = No x 7.612255 になってますね。
r を 4%すなわち0.04 とおくと Nt = No x 1.04 ^30 = No x 3.24339で、
四捨五入すると3.2倍。
15七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 04:42:13 ID:Q93/KUCm
数学付録 IIa
ロジスティック式:これはいろいろバリエーションがありますが、アマゾンで中古本$30.65の
Kareiva, P., C. Yuan-Farrell, and C. O’Connor. 2006. Whales are big and it matters. Pp 377-385 in J.A. Estes, et al (eds.)
The Influence of Whales and Whaling on Ocean Ecosystems. University of California Press: Berkeley , CA
だと、  Nt = K/(1 + be ^rt) という簡易計算式を使ってますね。
ここで、Nt = は t 年後の個体数推定, K = 環境収容力(carrying capacity), b = (K - No)/No, で 
No = 出発年次個体数, r = 年増加率。

これで数種類の鯨類個体群について、モラトリアムが持続することを前提に2050年の資源状況を計算してます。
[ TABLE 30.1 Whale Population Estimates for 2050]
________________________________________________________________________________________
_______________________Current___Annual Growth___Carrying_____2050_________________
Species _______________Estimate___Rate (r) % ______Capacity (K)__Estimate<a>__% of K_
Eastern North Pacific____26,000 ____2.5____________37,364________33,301______89.1__
gray whale <b>
Sperm whale (global____452,000_____0.9__________1,110,000_____1,092,520_____98.4__
population)<c>
Bering Sea bowhead whale _8,000<d>__3.1<e>_______10,000________9,588_______95.9__
(conservative K)
Bering Sea bowhead whale__8,000<d>__3.1<e>_______23,000<f>____17,424_______75.8__
(liberal K)
Humpback whale___________33,600<d>__3.9 <g>____115,000<h>____85,519_______74.4__
(conservative r)
Humpback whale___________33,600<d>__12.6<g>___115,000<h>____114,491______99.6__
(liberal r)
________________________________________________________________________________________________________
<a> For simplicity, all populations were assumed to grow logistically according to the equation Nt = K/(1 + be^rt),
where Nt = the estimated population in 2050, K = carrying capacity, b = (K - No)/No, No = current population size,
r = annual growth rate, and t = (2050 - year of current estimate).
<b> Rugh et al. 1999. <c> Whitehead 2002. <d> Gerber et al. 2000. <e> Cited in Best 1993.
<f> Cited in Sheldon and Rugh 1995. <g> Clapham et al. 2001 <h> Evans1987.
数値は最新のIWCのデータとすこし違います。あくまでも計算のやり方の例示ということで。
16七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 04:51:34 ID:Q93/KUCm
数学付録 IIb
ロジスティック式の別バリエーション
Baker, C.S. and Clapham, P.J.� Modelling the past and future of whales and whaling.�
Trends in Ecology and Evolution 19(7): 365-371, 2004.
の説明ボックスだと、
Pt+1 = Pt + rmax Pt ( 1 - (Pt / K)^z) - Ct
という式にしてます。
ここでPは上のNと同じでポピュレイション(人口あるいは個体数)
rmax  は生物学的に可能な最大増加率、 K は環境収容力、 ^はベキ指数記号、
2の3乗は 2^3 と書きます。
z は最大持続可能捕獲レベル(MSYL)を設定するベキ指数で、1990年当時想定
されていたように、Kの60%がいちばん増加率の高くなる個体数水準という仮定で 
z = 2.39になってます。
Ctは 年次t における捕獲数。

これで現在から過去にさかのぼる個体数推定、過去の捕鯨量との対比で式のフィッ
ティングを高めて将来の推定の精度を上げるという作業をやってます。
今、IWCで毎年鯨種、海域ごとに普通にやってる計算作業のコアになる考え方ね。
実際の計算は、いろいろ変数を変えて数万本の増減経路が一定の幅の中に収まるか
という、膨大な計算量になります。

過去の違法捕鯨量、過少申告を認めず、この式でフィットさせるべき真性データを
提供しない捕鯨国は、科学性において重大な違反を犯していると見なされてもしかたが
ないな。
17七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 05:34:47 ID:6UApvIil
結局、長くなってるよ。

>過去の違法捕鯨量、過少申告を認めず、この式でフィットさせるべき真性データを
提供しない捕鯨国

それは何処の国?

18七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 05:37:22 ID:6UApvIil
>別にオーストラリアが「答える義務は無い」
の一点張り、というわけではない。

じゃあ、何て言ってるの?
19七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 06:05:38 ID:RVy2R7hW
欧米が言っているように、保護しないと絶滅するとかいう生息数のレベルならネズミ算的に増えると思うんだが…
ネズミ算が適応できないってことはそれなりに数居るんじゃないの?
20七つの海の名無しさん:2008/07/03(木) 07:15:44 ID:AuGdusOi
>12
ネズミ算式に増えないというのは環境に対して飽和すれば増殖が止まると言う話です
飽和していない状況では普通にネズミ算式に増えます
特に鯨は生態系の頂点にいるので影響を受ける環境要素は餌だけだし
2113:2008/07/05(土) 06:00:50 ID:k8gZwwAY
>>17
>結局、長くなってるよ。

そうかなあ。本文の10行で意味通じてると思うけど。

>>過去の違法捕鯨量、過少申告を認めず、この式でフィットさせるべき真性データを
>>提供しない捕鯨国

>それは何処の国?

旧ソ連がロシアになって南半球シロナガスクジラのや南北両方のセミクジラ違法捕獲を
かなり精密に報告し直してるから、それ以外で1950-80年代の大捕鯨国というと、
おのずと一カ国だけになるね。
2213:2008/07/05(土) 06:12:17 ID:k8gZwwAY
>>20
>ネズミ算式に増えないというのは環境に対して飽和すれば増殖が止まると言う話です
>飽和していない状況では普通にネズミ算式に増えます

飽和するとそれ以上増えない、というのは大事だから、これから「クジラが
増えすぎて魚を食い尽くす」みたいなこと言う人がいたら注意してあげてねw

それで「飽和していない状況では普通にネズミ算式に増えます」というのも、
IWC科学委員会が違うと言ってるんだから、そう主張するならそうとう丁寧な
実証的反論が必要だね。(科学委員会の場合、たとえばあるクジラ種の本来の
生息海域で密度が低すぎると、生殖相手に出会えない確率が高くなるから
生物学的に適切なr<増殖率>を実現できない、従って増え方が遅くなるとか、
その他いろいろクジラの生態に則した説明をしています。クジラの密度と
増加率の関係を実証的に調べるのに、捕って殺す必要はないです。今だったら
DNA分析で親子関係が正確にわかるから、皮膚とか糞を採れば十分です。)