ロシアへの投資評価を引き上げ:アースト&ヤング社調査結果による
Ernst&Youngの調査によると、世界的金融危機が切っ掛けとなりロシアへの投資の魅力が高まった。
Ernst&Young(E&Y;ロンドンを本拠地に世界各国で会計などの事業を展開する監査法人)が国際企業の
経営トップ834人を対象に、欧州の投資環境に関する調査を行い、このような結果が出た。逆に、
欧州先進諸国及び北米は投資魅力を失いつつある。
2006年、欧州先進諸国及び北米大陸は最も魅力的な投資先であったが、現在は、その座を中国に
奪われている。魅力的な投資先として中国を挙げた回答者は47%にのぼり、欧州は33%、アメリカと
カナダは21%であった。しかし、過去2年間で投資魅力を最も増したのはロシアであった。2006年には
投資先としてロシアを挙げた人は5%に過ぎなかったが、2008年には21%まで増加している。
投資を考える上で回答者が最も重要とした点は「政治及び法制度の透明性と安定性」及び「輸送
及び物流に関わるインフラ整備」で、54%の回答者が同項目を挙げた。以下「通信環境」、「生産性
上昇率」、「人件費」、「税金」が続いた(51%-46%)。
2007年に外国からの投資によって、ロシアで新たに創出された雇用数は1万4934人分であった。
この数字は欧州で4番目に高く、欧州全体における同指標の8.5%を占めた。また外国からの投資による
新規事業計画数は欧州全体で8番目の136となり、3.6%を占めた。E&Yの調査に回答した経営
トップのうち12%はロシアにおける新規投資計画あるいは既存投資計画の拡大を考えている。
(ポーランド、ドイツに次いで3番目)。
メリル・リンチのYulia Tseplyaeva氏は、先進諸国に打撃を与えた世界的な金融危機を背景に、
ロシアへの評価を見直す動きが出てきていると考える。同氏によると、ロシアは以前よりマクロ
経済的に好調さを示していたが、堅調な世界経済の中に隠れて充分に評価されていなかった。
しかし、ロシアが外部要因による影響を受けにくいことが判明し、同国の投資魅力は増した。
HSBC銀行のAlexander Morozov氏によると、欧米諸国の経済成長率が低迷した結果、投資先として
魅力的な国の順位が変わった。同氏は、「外国投資家は、ロシア経済が著しいスピードで成長している
事に気付いた。実際、年間ドルベースでの成長率は20%以上にのぼっている。」と言及している。
また、Morozov氏は、ロシアがこのような急成長を遂げているにも関わらず、同国に対する投資総額は
依然低い水準にとどまっており、ロシアへの投資には、高い見返りが期待できると付け加える。
E&YのAlexander Ivlev氏は、ロシアの投資魅力は、著しい経済成長だけではなく、全体的な
投資環境の改善にも起因すると考える。同氏によると、過去数年にわたって一連の重要な
改革が行われ、税金と関税に関する法律が整備された。更に、国内政治・経済状況が安定し、
中長期的な予測が可能になったことが投資先としての魅力に貢献したと述べている。
参照:
Ernst&Youngは欧州における外国投資家による雇用創出ペースが減速傾向にあると指摘する。
外国からの投資により創出された雇用先は2006年には21万4987人分であったが、2007年は
17万6551人分にとどまった。
2008年06月09日 23:02更新(提供:ARUJI GATE証券株式会社)
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/080609/20348.html