【アイルランド】リスボン条約の国民投票へ EUの今後占う [6/3]

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★リスボン条約:アイルランドで国民投票へ EUの今後占う

欧州連合(EU、27カ国)の新しい基本条約となる「リスボン条約」の是非を問う国民投票が12日、
アイルランドで実施される。世論調査によると、批准賛成が反対を上回るが、差は狭まりつつある。
同条約は1カ国でも批准しなければ発効しないため、投票の結果はEUの未来に大きな影響を
及ぼしそうだ。

5月25日発表の世論調査によると批准賛成は41%、反対33%。今年1〜2月の地元紙調査では、
賛成が反対を20ポイント弱上回っており、賛否の差が縮まった。一方、25日の調査では「態度未定」も
26%で予断を許さない状況だ。

焦点は、EUの行政府・欧州委員会が世界貿易機関(WTO)農業交渉で取る姿勢に不満をもつ農民の
動向だ。アイルランド農協は、自由化志向の強い同委のマンデルソン委員(通商担当)が、アイルランド
農民の保護に不利な合意を引き出すことを警戒。交渉での結果次第では、政府に拒否権の発動を
求める。

同国のカウエン首相は先月下旬、「WTO交渉への不満と国民投票を結びつけない」よう農民に求め、
賛成票を投じるよう促した。だが、同農協のウォルシュ会長(50)は毎日新聞に「政府から(農民
保護の)十分な確約を得ていない」と発言。批准反対の可能性を見せた。

EUでは、リスボン条約の前身である欧州憲法が05年にフランス、オランダの国民投票で否決され、
結局発効できなかった苦い過去がある。またアイルランドは01年、EU拡大に備えた機構改革のための
「ニース条約」を国民投票でいったん否決した経験がある。

このため欧州委員会のバローゾ委員長は26日、「国民投票の結果が否決ならば、EUにとって極めて
悪い影響が出る。アイルランドを含め、私たちは代償を支払うことになる」と警告した。

【ことば】リスボン条約
昨年12月に欧州連合(EU)各国がリスボンで署名。09年の発効を目指す。EUの「大統領」と
「外相」相当の2ポストを創設。将来の欧州拡大に備えEUの効率的運営法を規定した。前身の欧州
憲法は「EU旗・歌」の制定など連邦国家的な体裁を取る側面があり、05年、仏などが国民投票で
「加盟国の主権が侵害される」などと批准を拒否。このため「憲法」の呼称や「旗・歌」もやめて、
国家色を薄めた。これまでに仏独など15カ国が批准した。

毎日新聞 2008年6月3日 19時26分(最終更新 6月3日 19時28分)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080604k0000m030055000c.html
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