★ハリウッド実写版『ドラゴンボール』撮影終了 メキシコのドゥランゴ州で撮影が行われた理由
田村英里子やチョウ・ユンファらが出演し、話題を呼んでいるハリウッド実写映画版『ドラゴンボール』
(関連記事)。そのロケがメキシコのドゥランゴ州で終了した。この地がロケ地に選ばれたのは、
ドゥランゴ州が映画製作に必要なものを積極的に提供し、ロケを招聘しているからだ。
「ドゥランゴ州のフィルム・コミッションと州知事市が無料で飛行機を提供し、ロケ地まで連れて
きてくれたんですよ」と、語るのは『ドラゴンボール』の製作総指揮ティム・ヴァン・レリム氏だ。
亀仙人役のチョウ・ユンファと20世紀フォックスの重役も一緒に招待されたそうだ。
「ドラゴンボール」はご存じのとおり、鳥山明原作のベストセラー・コミックで、アニメやビデオ
ゲームとしても展開され、世界中で大ヒットした。現在ハリウッドでは、その実写版が『少林サッカー』の
周星馳(チャウ・シンチー)製作、『ファイナル・デスティネーション』のジェームズ・ウォン監督、
ジャスティン・チャットウィン主演で製作されている。
メキシコ・ロケはドゥランゴ州のフィルム・コミッションと州知事の協力で、閉鎖中のジーンズ工場で
撮影された。20世紀フォックスは長さ1000フィート、幅250フィートある工場内にセットをつくり、野外にも
野外撮影用のセットを作った。『ドラゴンボール』の舞台となる東洋の未来都市は実際のドゥランゴ州の
風景が撮影された。
ドゥランゴのフィルム・コミッションの会長のSergio Gutierrezは「ほかのフィルム・コミッションと
同じように、これから製作される映画を探してアプローチします。しかし、他と違う点は、我々は
小型ジェット機を飛ばして、プロデューサーや監督を無料でロケ地に招待し、ご自分の目で
ロケ地を確かめていただくという制度をとっています。また、ロケハンや空撮のために、無料で
ヘリコプターも提供しています」と、至れりつくせりだ。
また、ドゥランゴ州の州知事も全面的に協力している。撮影スタッフがドゥランゴでロケをする場合、
州知事が映画関係者と会い、税関や移民法に関わるさまざまな手続きを簡単にしてくれるそうだ。
ドゥランゴ・フィルム・コミッションの会長Gutierrezは自らの映画プロデューサー歴を生かし、撮影
スタッフが必要なことを聞き出していく。セットにもコミッションのスタッフが頻繁に顔を出し、撮影の
ための道路封鎖を迅速に行ったり、また宿泊ホテルのディスカウントを手配したりする。
「じゅうぶん実行可能な場所ですね。お役所的な規制がないし、安全だし」と製作総指揮のレリム氏も
語る。また、ほとんどがメキシコ人で形成されるスタッフも「とってもプロフェッショナル」と述べ、
ドゥランゴで撮影する経済的な利点も語った。
実はドゥランゴが撮影場所に使われたのは、今に始まったわけではない。この地は昔は映画撮影の
メッカだった。まだ若き日のロバート・ワグナーが出演した1955年のフォックス映画『 白い羽根』 や
クラーク・ゲーブル主演の『 たくましき男たち』、また、ジョン・ウェイン主演の『 エルダー兄弟』などが
ドゥランゴで撮影されている。そのほか、サム・ペキンパー、バート・ランカスター、ジャック・
ニコルソンなどが関わった映画もここで撮影されている。シドニー・ポワチエの監督デビュー作
『 ブラック・ライダー』もそうだ。
かつての栄光を取り戻そうと、メキシコ政府はドゥランゴに他にも撮影設備を設けようとしている。
「ドゥランゴには53年もの映画の歴史がありますからね。その歴史の上に再建しようとしているのです」と
ドゥランゴ・フィルム・コミッションの会長は語った。
日本で生まれ、世界で注目される実写映画版「ドラゴンボール」。日本ではアメリカより約1カ月も早い
2009年の春公開(3月より日劇1ほか全国で拡大ロードショー)。全世界に先駆けて公開されるだけに
注目が集まる。
http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d0000012tuq.html