紀元前に栄えたインダス文明の遺跡モヘンジョダロに、携帯電話のアンテナ鉄塔が違法に建設された。
将来の発掘予定地でもあり、パキスタン考古学当局は警察に何度も撤去を求めたが、効果なし。
遺跡保存関係者らは「文化財保護の意識がなさ過ぎる」と、ため息をついている。
高さ50メートル近い鉄塔は、同遺跡のシンボルの仏塔から西に約500メートルの位置にある。
周囲に人工物はなく、その存在はひときわ目立つ。
遺跡保存事務所のアリ・ハイダル技官によると、建設は06年12月に始まった。
英領時代に定められた2.2平方キロの保護区域内だったため通信会社側に
中止を求めたが、「土地登記は個人名義でなされている。保護区域には入っておらず、
正当な賃貸契約を結んでいる」と拒まれた。
だが、別の事務所職員は「登記そのものが偽造だった。我々の調査で、地元シンド州政府の
高官が建設に関与したことが分かっている」と打ち明ける。そのためか警察はいっこうに動かない。
最高裁が昨年8月に鉄塔の撤去を命じたにもかかわらず、通信会社も応じようとしない。
今年3月には、別の通信会社も近くで鉄塔建設を予定していることが判明した。
モヘンジョダロは1921年に発掘が始まった当初は2〜3世紀の仏教遺跡とみられたが、
調査が進むにつれて紀元前2300〜同1800年ごろの都市遺跡だったことが判明。
80年には世界遺産に登録された。考古学当局は、時期は未定ながらも鉄塔周辺の発掘を予定している。
鉄塔画像:
http://www.asahi.com/international/update/0407/images/TKY200804070097.jpg ソース(asahi.com):
http://www.asahi.com/international/update/0407/TKY200804070055.html