★米司法省、テロ容疑者の拷問を正当化した内部文書を開示
米司法省は2日、テロ容疑者の過酷な尋問について法的に問題ないとの見解を示した2003年
3月14日付の内部文書の機密指定を解除し、開示した。議員や人権団体からは、違法な拷問を
正当化するものだとして、改めて政府の対テロ戦略に非難の声があがっている。
81ページにわたる文書はイラク戦争開戦直前に作成され、キューバのグアンタナモ米軍基地
収容所のテロ容疑者に対する尋問がどの程度まで許されるかの線引きを模索していた国防総省に
送付された。
文書は、戦時の最高司令官としての大統領の権限が、過酷な拷問を禁止する米国内法や国際法を
超越するとの司法解釈を明示。テロ容疑者への尋問で拷問が行われたとしても、国際テロ組織
アルカイダのさらなる攻撃から米国を守るための行為である以上、違法性は問われないとの判断を
示している。
民主党のジョゼフ・バイデン上院議員は、「司法省が軍に拷問の法的根拠を与えたことはショックだ。
この文書は無法状態を作り出し、(イラクの)旧アブグレイブ刑務所の虐待事件を招いた。文書の
作成者、承認者は責任をとるべきだ」とのコメントを出した。
同じく民主党のエドワード・ケネディ上院議員も、ブッシュ政権が「法の原則を捨て、自軍の拷問を
正当化するという範を他国に与えてしまった」と指摘した。
人権団体からも批判が相次いでいる。文書の開示を求めてきたアメリカ自由人権協会(ACLU)は、
「司法省が国防総省に拷問の事実上のお墨付きを与えた」と非難し、国際人権団体「ヒューマン・
ライツ・ウォッチ」は「拷問などの禁止行為に法の抜け道を作っているようなもの」と強い懸念を示した。
こうした反応に、国防総省はテロ容疑者の虐待を否定。収容者の人道的扱いを強調した。
連邦議会は2005年2月、水責めなど過酷な尋問を禁止する法案を可決したが、ブッシュ大統領が
拒否権を発動している。
(c)AFP/Laurent Thomet 2008年04月03日 17:13
http://www.afpbb.com/article/politics/2373306/2798735