十代の若者の反社会的行動を抑止する目的で作られたある装置が、
若年層を「悪魔扱いしている」との理由で禁止される可能性が出てきた
――街角の音響芸術向けに活路を見出す可能性は残されているのだが。
2006年に発売されたときにワイアード・ブログでもご紹介した(英文記事*1)
この装置『Mosquito』は、人が年を取るにつれ高い周波数の音が聞こえにくくなることを
利用したもので、若者にしか聞こえない不快な音を流して、若者を寄せ付けないようにする。
[同製品のサイトなどによると、店舗前にたむろする若者を追い出すなどの目的に
使われているもので、17.5kHzから18.5kHzを利用。主に 25歳未満の若者層がターゲットで、
彼らには15?20メートル離れていても聞こえ、5分から10分たつと耐えられなくなるという。
タイマー付きの製品や、遠隔地から操作する製品などもある。]
25歳以下の方は、ここ(MP3ファイル*2)でその効果を体感してみるといい。
なお、聞こえるかどうかで世代がわかるという携帯着信音をダウンロードできるサイトもある
[60歳代まで聞こえる10khz、18歳以下までしか聞こえない22khzなど各種の着信音がそろっている]。
Mosquitoを開発したのは英Compound Security Systems社で、すでに世界各地で
5000台を販売しているという。
しかし、警察当局や街の商店主たちが、約1000ドルもするこの装置[発売時には495ポンド]の
効果に感心している一方で、Mosquitoは[反社会的な行動をとる若者だけでなく、若者すべてを
対象にすることから]若者たちの権利を侵害している、とする抗議活動も新たに起こっている。
例えば、英国の人権擁護団体Libertyは、「いったいどんな社会が、効果が弱いとはいえ
音響兵器を、自分たちの子供に向けるのか」と問いかけている。
[さらに公的機関もこの問題を取り上げ始めている。]
これに対しCompound Security Systems社は、Mosquitoの「ブザー音」は痛みを
与えるわけではなく、相手を不快にさせる効果があるだけだと反論している
[85デシベルで稼働しており、交通騒音よりもマイルドだという。また、商店主の連合も、
禁止措置の動きに反論している]。
2008年2月26日
ソース(WIRED VISION):
http://wiredvision.jp/news/200802/2008022622.html *1
http://blog.wired.com/gadgets/2006/04/the_mosquito_de.html *2
http://www.bbc.co.uk/wiltshire/audio/mosquito_sound.mp3