★死を待つ証言者で欧州と対立か 露ユコス事件
3月2日に予定されるロシア大統領選を前に、プーチン政権下で解体・再国有化された元石油最大手
ユコス社関係者に対する処遇が苛烈(かれつ)を極めている。中でもエイズと診断されながら
収監されている同社の弁護士について、ロシアは即時の治療を求める欧州人権裁判所の決定を
3度にわたって無視しており、「法の恣意的運用と人権無視」(関係者)は欧州との新たな火種とも
なりそうだ。
死期が迫っているとみられるのは同社のホドルコフスキー元社長=シベリアで服役中=らの弁護人で
同社の清算業務を担当したアレクサニャン弁護士(36)。2006年4月に脱税や資金洗浄の容疑で
拘束され同年9月にエイズと診断された。
同氏の弁護人を務めるリボバ弁護士によると、当初から高度な治療が必要と判断されたにも
かかわらず医療的措置は施されず、いまだに公判も開かれていない。すでに肝障害や結核、
失明といった症状を呈している。
欧州人権裁は昨年11月27日と12月6日、21日、医療施設への即時収容を繰り返し要求したものの
ロシア最高裁までが22日、釈放を求める同氏の上告を棄却した。リボバ弁護士は「これは正真正銘の
拷問だ。(欧州裁決定の度重なる無視は)前例のない事態であり、国際的にも深刻な結果を
招くだろう」と警告する。
ユコス事件をめぐっては昨年2月、禁固8年の判決で服役中のホドルコフスキー元社長ら2人が
脱税など判決と同様の罪で「追起訴」され、2人には22年以上の刑期が上積みされる可能性が
出ている。
アレクサニャン氏は22日の最高裁法廷で「ホドルコフスキー氏の『罪状』を証言すれば釈放する」と
検察側の「取引要請」があったことを暴露。プーチン大統領が大統領選後も実質的な国家運営を
続けるとみられる中、政敵だったホドルコフスキー氏とその関係者を極限まで追いつめる政権の
姿勢が鮮明になりつつある。
2008.1.24 22:03
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080124/erp0801242203009-n1.htm