東部チョンブリ県シラチャーに日本人の姿が目立つようになって十数年、バンコク同様の
待遇で暮らす駐在員もいれば、経費を抑えた短期出張者、さらには現地採用の日本人と、
その生活スタイルは様々だ。その多種多様な日本人に接し、「日本人は皆金持ち」という
思い違いに気付き始めた地元のタイ人事業者たちが、ローカル向けの商売を日本人にも
対応させるようになってきた。
特に多いのがアパートと飲食店。アパートの場合、これまで日本人向けは
月3万バーツ前後の外国人専用の物件しかなく、予算をもっと抑えたいという人は、
タイ人向けアパートに住んでいた。主にタイ人向けということ自体は変わらないが、
NHKが受信できるようにしたり、湯沸かし器を設置したりと、「日本人OK」を打ち出す
アパートが増えてきた。賃料は月6000―1万バーツ程度。
これらのアパートはもちろん大手のデベロッパーではなく、個人事業のタイ人たちが営んでいる。
日本人相手の商売は大資本企業だけの専売特許ではないのだ。
飲食店もしかり。これまでタイ料理店といえば、店の作りも味付けも、いかにもローカルだった。
これが最近は外国人にも合うような内装を施し、味付けにも工夫する店が増えた。
「入るのに気が引ける」というみるからにタイ飯屋という雰囲気はなくなり、従業員の対応は
良くなり、メニューは英語併記で写真付き、日本から来たばかりの人たちも気軽に入れる店に
様変わりした。日本人にとってはこれまで、「夕食は日本食」が中心だったが、そこにタイ料理が
ごく自然に加わるようになった。
最近はまた、新たに開店するタイ料理店で日本食も出すようになり、これがけっこう食べられる味。
タイ人向けの富士レストランにいたっては、「変な日本食屋よりマシ」と評する日本人も多い。
街で成功している日本食屋は、「日本人が自ら厨房で包丁を握る」店のみ。
飲食業経験のない日本人の経営者が、タイ人に任せて
営業する中途半端な居酒屋は、どこも開店休業の状態だ。
そのほかに目立つ店といえば喫茶店。国際的チェーン店のスタバやオーボンパンに追随する、
地元のおしゃれなカフェやベーカリー・ショップが増え、時間を持て余す駐妻さんたちが
違和感なくハシゴしている。
「シラチャーってどういうところ?」と聞かれ、ついこの間までは「日本人相手の居酒屋、
カラオケ屋、マッサージ屋しかないところ」と答えるのが普通だった。しかし今はその
イメージが払拭されつつある。
もはやまったく進化していないのが、「居酒屋、カラオケ屋、マッサージ屋」になってしまった。
ソース(newsclip.be):
http://www.newsclip.be/news/2008118_017317.html